15:53 〜 16:16
[U05-12] 彗星アストロバイオロジー探査サンプルリターン(CAESAR)における日本からの貢献
★招待講演
キーワード:彗星サンプルリターン
小天体からのサンプルリターンにより、太陽系形成、特に、そこでの生命惑星の形成に至る道筋を理解しようとする日本の惑星科学者にとって、彗星はある意味で究極の対象である。しかし、彗星からのサンプルリターンは日本による主導が可能な規模を超えてしまい、海外計画への参加が現実的な選択肢である。そこに、これまでの実績を評価され、米国主導の大規模計画提案チームから、鍵となる技術と知見を提供しての参加要請があった。本提案は、この計画が選定されるための貢献を継続し、選定後は日本チームに任された役割を確実に果たし、かつ、将来の日本惑星コミュニティに大きな科学成果創出の機会をもたらすことを述べたものである。
彗星は太陽系を形成した材料物質が低温で保存されている天体であり、その物質には太陽系の起源の謎を解き明かす多くの手がかりや、地球生命の材料の起源に迫る多くの情報が記録されている。CAESARは彗星核表面からサンプルを採取し、それを変質させずに地球に持ち帰る世界初の計画である。日本の惑星科学コミュニティーでは、一連の太陽系の小天体、衛星、惑星探査を行うことにより、究極的には「私たち生命はなぜ地球に生まれたのか、私たちは宇宙に本当に孤独な存在であるのか」を探求するべく一丸となって計画を進めている。CAESARミッションは統一目標である「生命生存可能環境の形成と持続」を明らかにするために最重要な証拠となる太陽系形成最初期の「惑星材料・揮発性物質の分布・供給」「生命前駆物質の形成・進化」を明らかにする計画に位置付けられている。この計画はNASA New Frontiers 4計画に提案され、12件のミッション候補の中から最終候補として選ばれた2つの提案のうちの1つである。米国を中心とする国際チームからの要請で、JAXAが“はやぶさ”での成功経験を活かしたサンプルリターンカプセルを製作・提供するメジャーパートナーになっている。科学面でも計画の立案から深く関わっており、複数のサンプル分析の担当にもなっている。CAESARのサンプルリターンはこれまでのサンプルリターンの歴史の中で最も遠方から、最も大量に最も低温でサンプルリターンを行うものであり、非常に革新的で、格段の科学的意義だけではなく格段の工学的な意義をもつ計画である。
太陽系の初期進化の歴史は、星間物質から原始太陽系物質に段階的に進化するところから始まる。はやぶさが持ち帰った試料やはやぶさ2が持ち帰る試料は、主に原始太陽系円盤の内側から中間領域で形成された、円盤内部での星間物質の物質進化の情報を記録した物質である。一方で、CAESAR が持ち帰る彗星物質は、原始太陽系物質の原材料である星間物質からほとんど変化を受けていない物質であると考えられる。CAESARでは彗星の揮発性成分と不揮発性成分の両方を回収する。したがって、CAESARの試料は人類がそれまで一度も手にしていない最も始原的な水、有機物、岩石からなる太陽系の起源物質である。CAESARによって得ることができる科学的情報は、これまでの日本の小天体サンプルリターンと相補的なものであり、この成功によって人類は太陽系の内側から外側までの材料物質を手に入れることになる。得られる成果は国民的関心の高い生命の起源に関する宇宙の関わりと太陽系の起源を明らかにすることに大きく貢献すると期待できる。
現在は宇宙科学研究所内のプリプロジェクトとして、PhaseA活動を実施している。PhaseA活動として、サンプルリターンカプセルの概念設計、及び、NASAへの最終プロポーザルの作成と、並行してPrePhaseA活動で抽出されたクリティカルコンポーネントについての試作と評価による開発リスクの低減を行っている。また、サイエンス側では、NASAでの第一次審査で指摘がなされた事案について実験により検証を行っている。なお、NASA NEW FRONTIESRS 4計画は、2019年夏にNASAでの最終的な採否が決定する予定である。CAESARで獲得した試料は初期分析ののちに、日本の科学コニュニティを含む研究者らに分配・共同利用され、詳細な分析が行われる。これによって、国内および世界的な地球惑星科学・天文学・宇宙生命科学における大きな発展に貢献することが期待される。
彗星は太陽系を形成した材料物質が低温で保存されている天体であり、その物質には太陽系の起源の謎を解き明かす多くの手がかりや、地球生命の材料の起源に迫る多くの情報が記録されている。CAESARは彗星核表面からサンプルを採取し、それを変質させずに地球に持ち帰る世界初の計画である。日本の惑星科学コミュニティーでは、一連の太陽系の小天体、衛星、惑星探査を行うことにより、究極的には「私たち生命はなぜ地球に生まれたのか、私たちは宇宙に本当に孤独な存在であるのか」を探求するべく一丸となって計画を進めている。CAESARミッションは統一目標である「生命生存可能環境の形成と持続」を明らかにするために最重要な証拠となる太陽系形成最初期の「惑星材料・揮発性物質の分布・供給」「生命前駆物質の形成・進化」を明らかにする計画に位置付けられている。この計画はNASA New Frontiers 4計画に提案され、12件のミッション候補の中から最終候補として選ばれた2つの提案のうちの1つである。米国を中心とする国際チームからの要請で、JAXAが“はやぶさ”での成功経験を活かしたサンプルリターンカプセルを製作・提供するメジャーパートナーになっている。科学面でも計画の立案から深く関わっており、複数のサンプル分析の担当にもなっている。CAESARのサンプルリターンはこれまでのサンプルリターンの歴史の中で最も遠方から、最も大量に最も低温でサンプルリターンを行うものであり、非常に革新的で、格段の科学的意義だけではなく格段の工学的な意義をもつ計画である。
太陽系の初期進化の歴史は、星間物質から原始太陽系物質に段階的に進化するところから始まる。はやぶさが持ち帰った試料やはやぶさ2が持ち帰る試料は、主に原始太陽系円盤の内側から中間領域で形成された、円盤内部での星間物質の物質進化の情報を記録した物質である。一方で、CAESAR が持ち帰る彗星物質は、原始太陽系物質の原材料である星間物質からほとんど変化を受けていない物質であると考えられる。CAESARでは彗星の揮発性成分と不揮発性成分の両方を回収する。したがって、CAESARの試料は人類がそれまで一度も手にしていない最も始原的な水、有機物、岩石からなる太陽系の起源物質である。CAESARによって得ることができる科学的情報は、これまでの日本の小天体サンプルリターンと相補的なものであり、この成功によって人類は太陽系の内側から外側までの材料物質を手に入れることになる。得られる成果は国民的関心の高い生命の起源に関する宇宙の関わりと太陽系の起源を明らかにすることに大きく貢献すると期待できる。
現在は宇宙科学研究所内のプリプロジェクトとして、PhaseA活動を実施している。PhaseA活動として、サンプルリターンカプセルの概念設計、及び、NASAへの最終プロポーザルの作成と、並行してPrePhaseA活動で抽出されたクリティカルコンポーネントについての試作と評価による開発リスクの低減を行っている。また、サイエンス側では、NASAでの第一次審査で指摘がなされた事案について実験により検証を行っている。なお、NASA NEW FRONTIESRS 4計画は、2019年夏にNASAでの最終的な採否が決定する予定である。CAESARで獲得した試料は初期分析ののちに、日本の科学コニュニティを含む研究者らに分配・共同利用され、詳細な分析が行われる。これによって、国内および世界的な地球惑星科学・天文学・宇宙生命科学における大きな発展に貢献することが期待される。