日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 U (ユニオン) » ユニオン

[U-06] 100周年を迎えるIUGGへの日本の貢献

2019年5月30日(木) 10:45 〜 12:15 国際会議室 (2F)

コンビーナ:中田 節也(研究開発法人 防災科学技術研究所)、佐竹 健治(東京大学地震研究所)、東 久美子(国立極地研究所)、座長:東 久美子(国立極地研究所)、佐竹 健治(東京大学地震研究所)

11:00 〜 11:15

[U06-07] 水分野における教育研究・社会的要請に果たすIAHSの役割と将来展望

*辻村 真貴1 (1.筑波大学生命環境系)

キーワード:国際水文科学協会

IAHS (International Association of Hydrological Sciences;国際水文科学協会) は、1922年に欧州6カ国の水文研究者、技術者による会合に端を発し、現在はIUGG傘下の学協会として会員約5500人、10個の委員会、3つのワーキンググループを擁する。4年に1回開催されるIAHS Scientific Assemblyにおける発表論文をまとめたIAHS PublicationはRed bookと呼ばれ、いくつもの重要な論文が掲載されてきた。また、1993年のScientific Assemblyは横浜において開催されるとともに、2001年にはアジア地域から初めて竹内邦良・山梨大学名誉教授が会長に選出されるなど、我が国はIAHSにおいて重要な位置を占めてきた。

委員会は、Continental Erosion、Coupled Land-Atmosphere Systems、Groundwater、Remote Sensing、Statistical Hydrology、Snow and Ice Hydrology、Surface Water、Tracers、Water Quality、Water Resources Systemsからなり、水文学における主要な分野を包括している。また、2013年より、ワーキンググループ“PANTA RHEI –Change in Hydrology and Society”が、変化の著しい水循環システムと人間システムとの関係性に注目し、開始された。

我が国のIAHS小委員会は、日本ユネスコIHP (International Hydrological Programme) 国内委員会と連携しつつ、2012年10月にはJapan Water 2012:水に関する国際研究・教育プログラムへの日本からの発信-若手研究者のキャリアアップとジャパン・イニシアティブ-と題したシンポジウムを開催し、産官学連携による水関連の研究推進と人材育成について議論を行った。また、2017年より水文・水資源学会、日本地下水学会、日本水文科学会、および陸水物理研究会の共同により、日本惑星科学連合とパートナーシップにある学術誌として、Hydrological Research Letters (HRL) を発刊することになった。さらに、2019年3月には両委員会が共催し、IAEA (International Atomic Energy Agency) によるRegional Training Course on Isotopic Data Processing and Interpretation –Hands on Exercisesを、我が国において開催する。
一方、国内外における関連学協会および大学・研究機関を取り巻く環境変化等に伴い、IAHSおよびその国内委員会の果たす役割も変化を求められている。IHP国内委員会との連携強化、若手人材育成とキャリアパス開拓への貢献等が重要な課題として考えられる。