日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 U (ユニオン) » ユニオン

[U-06] 100周年を迎えるIUGGへの日本の貢献

2019年5月30日(木) 10:45 〜 12:15 国際会議室 (2F)

コンビーナ:中田 節也(研究開発法人 防災科学技術研究所)、佐竹 健治(東京大学地震研究所)、東 久美子(国立極地研究所)、座長:東 久美子(国立極地研究所)、佐竹 健治(東京大学地震研究所)

11:30 〜 11:45

[U06-09] IAPSOへのわが国の貢献

*升本 順夫1 (1.東京大学大学院理学系研究科)

キーワード:海洋科学、国際海洋物理科学協会、持続可能な開発のための海洋科学の10年

国際海洋物理科学協会(IAPSO)は、国際測地学及び地球物理学連合(IUGG)に加盟している8学協会のなかで、海洋とその境界領域に関する広義の海洋物理科学研究を推進し、国際協力による海洋研究を促進・調整することを目的としている。その実現のため、2年に一度、学術総会を開催し、委員会やワーキンググループを通じた活動を進めるとともに、ユネスコの政府間海洋学委員会(IOC)や国際学術会議(ICS)傘下の海洋研究科学委員会(SCOR)とも緊密に連携している。
 IAPSO学術総会には、日本の海洋科学コミュニティーから毎回多くの研究者が参加し、研究発表や議論を活発に行なっている。近年では、海洋の乱流混合過程や極域の海洋科学、西岸境界流の力学、津波、大気海洋系気候変動、インド洋の調査研究、海洋酸性化などのセッションにて、日本の研究者らがセッション提案をするとともに、多くの研究発表を通じて海洋物理科学の発展に貢献している。エルニーニョ/南方振動やインド洋ダイポール現象の理解への貢献により、2015年にThe Prince Albert I Medalが山形俊男氏に授与されたことは、日本の研究者による海洋科学研究の発展への功績が認められた一例として挙げられる。
 また、若干のブランクがあるものの、半世紀以上にわたり日本の研究者がIAPSO執行委員を務めており、そのうち約20年間で副議長、さらに2003年からの4年間は今脇資郎氏が議長を務めるなど、IAPSOの運営にも大きく貢献して来た。現在は日比谷紀之氏が執行委員として活躍中である。
 近年、地球環境変化への社会の関心の深まりとともに、海洋科学の裾野は物理学だけでなく生物地球化学分野にも大きく拡がっている。国連総会決議による「持続可能な開発のための海洋科学の10年」が2021年に始まろうとしている折から、わが国の研究者もより広い視野を持って研究を展開し、IAPSOやIUGGを通じた国際連携を更に促進する必要がある。