日本地球惑星科学連合2019年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 U (ユニオン) » ユニオン

[U-07] 連合の環境・災害への対応─予期せぬ地質災害の衝撃に備える─

2019年5月29日(水) 10:45 〜 12:15 コンベンションホールA (2F)

コンビーナ:奥村 晃史(広島大学大学院文学研究科)、松本 淳(首都大学東京大学院都市環境科学研究科地理環境科学専攻)、川畑 大作(国立研究開発法人産業技術総合研究所地質情報研究部門)、松島 政貴(東京工業大学理学院地球惑星科学系)、座長:川畑 大作奥村 晃史(広島大学)

11:40 〜 11:55

[U07-05] 地震ハザードマップへの非線形地盤応答の影響

*香川 敬生1 (1.鳥取大学大学院工学研究科)

キーワード:非線形地盤応答、地震ハザードマップ、分野横断共同研究

国,自治体レベルで様々な地震ハザードマップが作成・公開されている.その際の地盤増幅として,表層地盤をモデル化した上でサイト固有の非線形地盤応答を考慮することが望ましいが,単純な震度増分で表現されることも多い.これら表層地盤特性のモデル化は,常時微動や地震観測記録(弱震動)で行われることが多く,強震時の剛性低下や減衰の増加による地盤卓越周期の長周期化に十分対応できていない.実際,2016年熊本地震では非線形化による地盤卓越周期と建物の塑性化による固有周期の長周期化が連動し,建物被害を拡大したとの説もある.北海道胆振東部地震の斜面崩壊や宅地の地盤災害のトリガーとしても強震下での地盤の振る舞いが影響したとも考えられており,地震時の地盤災害を考える上でも重要である.地震学において非線形地盤応答が注目されはじめたのは1990年代だが,地震工学・地盤工学の分野では1970年代にはその影響を評価する手法(プログラムSHAKE)が提案されている.一方,常時微動や地震波干渉法,拡散波動場理論など地震学的アプローチによる新たな地下構造モデルの構築法も進展している.地球惑星科学の枠組みを越えた,これら諸分野との共同研究により,強震時の地盤応答を地震ハザードマップに反映させるための取り組みが求められている.