JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS02] 東アジアの異常天候・都市災害と気候変動との関わり

コンビーナ:Masaru Inatsu(北海道大学大学院理学研究院)、高薮 縁(東京大学 大気海洋研究所)

[AAS02-P02] 気候変動に伴う都市災害への適応

*稲津 將1日下 博幸2竹見 哲也3 (1.北海道大学大学院理学研究院、2.筑波大学計算科学研究センター、3.京都大学防災研究所)

キーワード:気候変動適応

本研究プロジェクト(環境再生保全機構環境研究総合推進費2-1905)では、暑熱による都市災害(熱中症)、強風による都市災害(建築物被害)、豪雨豪雪による都市災害(浸水氾濫や交通障害)といった近未来の気候変動に伴うリスクを評価する。暑熱は熊谷市・新潟市、強風は大阪市・京都市、豪雨豪雪は札幌市を対象とする。まず、近未来の気候変動影響を暑熱・強風・豪雨豪雪に着目して明らかにするため、d4PDF データベース(*)から気温傾向、極端事象、気圧配置の変化を抽出し、都市に対しとくに甚大な影響を及ぼす暑熱、強風、豪雨豪雪といったハザードと、近未来に都市災害をもたらす気象の典型事例を同定する。都市災害をもたらす気象は都市スケールから総観スケールに及ぶ多様な要素を含んでいる。そこで、各サブテーマが分担して、暑熱・強風・豪雨豪雪と関係する都市スケール、メソスケール、総観スケールの気象を分析する。次に、同定した事例に基づき都市特有の災害リスクを評価する。ここではスケールに応じて、汎用の領域気象モデルによる空間解像度数キロメートル程度の計算または最先端の都市街区気象ラージエディーシミュレーション(LES)による空間解像度数メートル程度の計算を実施する。この際、これまでの気候変動適応研究で培ったサンプリングや擬似温暖化技法を駆使して、評価を効率的に行う。以上により得た各サブテーマ(各対象都市)の暑熱、強風、豪雨豪雪に対する都市災害リスク評価結果を総合して、対象都市における適応策を地方自治体の実務者と協議する。本研究課題により国内都市における気象・気候に係るハザードとそれに適応するための方策の方向性が提示され、効率的なリスク評価の実施とともに気候変動の適応策に係る研究・技術開発を進める点において、環境政策への貢献となる。