JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS06] 台風研究の新展開~過去・現在・未来

コンビーナ:宮本 佳明(慶應義塾大学 環境情報学部)、金田 幸恵(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、和田 章義(気象研究所台風・災害気象研究部)、伊藤 耕介(琉球大学)

[AAS06-17] 台風に伴う非地衡風による北向き水蒸気フラックス

*斉藤 和雄1,2,3松信 匠4 (1.東京大学大気海洋研究所、2.気象庁気象研究所、3.気象業務支援センター、4.筑波大学)

キーワード:台風、非地衡風、先行降水、水蒸気フラックス

台風が日本の南海上にある時、本土で大雨が降ることがあり、しばしば台風によって水蒸気が日本の上空に運ばれ前線を刺激する、という説明がされる。海外でもPREと呼ばれる現象として知られており、北向きの深い水蒸気輸送を伴うことが指摘されている。Saito (2019) は、2009年第18号台風の接近時に西日本で観測された等高度線を横切る顕著な北向きの非地衡風について、高層観測データと気象庁全球客観解析、およびJMA-NHMによる再現実験により調べ、その成因として水平風加速度成分による力学的成因で説明できることを示した。
本発表では、PREに対する非地衡風の影響に関してSaito (2019) で扱った2009年第18号台風の時の再現実験の結果を基に、日本の南岸域で平均した各高度の水蒸気量と、北向き風速および水蒸気フラックスの鉛直プロファイルを解析した結果を示す。

参考文献:
Saito, K., 2019: On the northward ageostrophic winds associated with a tropical cyclone. SOLA, 15, 222-227.