[ACC39-P03] 中央アジア,天山山脈における短命氷河湖からの出水現象
キーワード:短命氷河湖、ハイドログラフ、アイストンネル、天山山脈
キルギスタン北東部に位置するイシク・クル湖流域では,2006年~2014年にかけて4回の氷河湖からの大規模出水が生じた.これら出水した氷河湖は,数か月~1年の間に出現・出水する短命氷河湖と呼ばれるタイプである.2008年7月には,西ズンダン氷河湖がわずか2か月半で出現・出水し,この出水による洪水で数名の犠牲者や家畜に被害がでている(Narama et al., 2010).2013年8月にはジェル・ウイ氷河湖,2014年7月にはカラ・テケ氷河湖で出水が生じ,灌漑用水路や農地が破壊されている(Daiyrov et al., 2018;Narama et al., 2018).本研究では,短命氷河湖であるKorumdu氷河湖に水位計とインターバルカメラを設置し,出水の特徴を調べた.これらデータの解析により,2017年,2018年,2019年に氷河湖の拡大と縮小が確認された.水位は,2017年に1カ月間かけて最大11mほど上昇し,10日間かけて徐々に排水がおこなわれていた.この氷河湖は毎年7~8月にかけて拡大していることから,氷河湖形成には氷河前面のアイストンネルの閉鎖がデブリの堆積によって生じたと考えられる.