JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC39] 雪氷学

コンビーナ:縫村 崇行(東京電機大学)、石川 守(北海道大学)、舘山 一孝(国立大学法人 北見工業大学)、永井 裕人(早稲田大学 教育学部)

[ACC39-P05] ネパール,ランタン・リルン峰における平常時の懸垂氷河崩落の特徴

*松本 広祐2奈良間 千之1渡部 帆南3河島 克久1八木 浩司4檜垣 大助5若井 明彦6 (1.新潟大学、2.新潟大学・院、3.RESTEC、4.山形大学、5.弘前大学、6.群馬大学)

キーワード:懸垂氷河、崩落、ランタンリルン峰、SfMソフト

2015年4月,ネパールの首都であるカトマンズ周辺を震源としたゴルカ地震と呼ばれる巨大な地震が発生した.ランタン・リルン峰ではゴルカ地震が誘因となって懸垂氷河が崩落し,発生した雪氷岩屑なだれにより谷底に位置するランタン村では甚大な被害が出た(Kargel et al., 2015).懸垂氷河とは急峻な山腹に張り付いたり,懸崖に張り出したりしている氷河である.懸垂氷河は不安定な場所に存在するため,地震時に限らず平常時においても崩落するという特徴を持ち,氷河末端が繰り返し崩落することで消耗し,その形状を維持している.フレンチ・アルプスのTaconnaz懸垂氷河は,わずか半年ほどの崩落サイクルをもつことが明らかになっている (Le Meur and Vincent, 2006).また,ヨーロッパでは平常時の懸垂氷河崩落による被害が報告されており,懸垂氷河は地震などの外的要因がない平常時においても災害を引き起こす.懸垂氷河崩落のモニタリングは,ヨーロッパ・アルプスの数か所でしか実施されておらず,ヒマラヤのような7000m級の山岳地域における崩落量や崩落サイクル,崩落する地形的特徴は明らかでない.そこで本研究では,ネパールのランタン・リルン峰の懸垂氷河を対象に,2015年6月および10月,2018年11月,2019年11月に撮影されたヘリ空撮画像からオルソ画像およびDSMを作成し,各時期を比較することで,平常時の懸垂氷河の崩落量や崩落サイクルを調べ,崩落の特徴を考察した.