JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG54] 陸域生態系の物質循環

コンビーナ:加藤 知道(北海道大学農学研究院)、市井 和仁(千葉大学)、伊勢 武史(京都大学フィールド科学教育研究センター)、寺本 宗正(鳥取大学乾燥地研究センター)

[ACG54-02] スギ人工林における土壌呼吸速度の7年間の変化

*阿部 有希子1梁 乃申2小嵐 淳3安藤 麻里子3寺本 宗正2橋本 昌司1,4丹下 健1 (1.東京大学大学院農学生命科学研究科、2.国立環境研究所地球環境研究センター、3.日本原子力研究開発機構、4.森林総合研究所)

キーワード:土壌呼吸速度、地温、土壌炭素量、比重分画、細根量

土壌呼吸速度は同じ森林内でも空間的なばらつきが大きいことが知られている。本研究では、調査地の東京農業大学奥多摩演習林のスギ人工林に21カ所の測点を設け、2013年1月から2019年8月にかけて土壌呼吸速度を定期的に測定し、土壌呼吸速度のばらつきの経年変化の傾向を調べるとともに、ばらつきの要因について検討した。深さ5 cmの地温と土壌呼吸速度の関係から、各測点の地温20 °Cの時の土壌呼吸速度を求めて比較したところ、2013年に土壌呼吸速度が高かった測点は7年間を通じて高く、低い測点は7年間を通じて低い傾向が認められた。2019年8月に各測点で採取した表層土壌(深さ0~30 cm)の炭素量と土壌呼吸速度には相関が認められず、比重1.6 g cm-3より軽い画分の土壌量や細根量と土壌呼吸速度の間に有意な正の相関が認められた。比重の軽い画分の土壌には、微生物によって分解されやすい比較的新しい有機物が多く含まれるとされることから、微生物分解されやすい有機物の多寡が測点間の土壌呼吸速度のばらつきの要因と考えられた。