JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG54] 陸域生態系の物質循環

コンビーナ:加藤 知道(北海道大学農学研究院)、市井 和仁(千葉大学)、伊勢 武史(京都大学フィールド科学教育研究センター)、寺本 宗正(鳥取大学乾燥地研究センター)

[ACG54-04] 陸と海はほんとうにつながっているのか?ビッグデータと深層学習を活用した学際研究

*伊勢 武史1 (1.京都大学フィールド科学教育研究センター)

キーワード:因果推論、ビッグデータ、深層学習

「森は海の恋人」という言葉を聞いたことがあるだろうか。陸上の生態系は海に影響を与えること、そして陸上の人間活動が生態系を改変すると、その影響は海にまでおよぶことを示唆する詩的な表現である。むろん、陸と海は河川をつうじた物質循環システムを構成していることは自明であるが、そのシステムの規模は大きく、システム内外に存在する複数の変数の関係性はきわめて複雑なため、陸と海がどのようなつながりを持っているのか、定量的に解明することはたいへん困難であった。

この発表では、陸と海の生態系のつながりを科学的に解明するための学際的な研究プロジェクトの構想を紹介する。人工衛星観測などで蓄積されているビッグデータを用いて、陸と海の変数間の因果関係を推論するプランが存在する。時系列データを最新の統計技法で解析することで、単なる相関ではなく因果関係の推論が可能になることが期待されている。さらに、陸と海というスケールの大きなシステム内の物質循環を解明するために、シチズンサイエンスの助けを借りることも構想されている。人工知能を活用したアプリケーションソフトをスマートフォンで利用することで、市民ボランティアが手軽に参画しデータ蓄積に貢献できる枠組みを構築しようとしている。