JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG56] 沿岸海洋生態系─2.サンゴ礁・藻場・マングローブ

コンビーナ:梅澤 有(東京農工大学)、宮島 利宏(東京大学 大気海洋研究所 海洋地球システム研究系 生元素動態分野)、渡邉 敦(笹川平和財団 海洋政策研究所)、樋口 富彦(東京大学大気海洋研究所)

[ACG56-P03] 窒素供給環境がアマモ(Zostera marina)の窒素含量と分解特性に与える可能性についての検討

*宮田 達1梅澤 有1渡辺 誠1堀川 祥生1仲岡 雅裕2 (1.東京農工大学、2.北海道大学)

キーワード:海草藻場、アマモ (Zostera marina)、携帯式窒素計

窒素は、植物の一次生産量を律速する可能性のある元素の1つであり、窒素供給量の増加は沿岸域の生物生産を増加させる可能性がある。一方で、光合成や呼吸、同化などの成長や分化に直接に関与しないフェノール性化合物などの二次代謝物には、捕食者や病原菌に対する防御化合物として作用するものがあり、陸域の高等植物の中には、これらの物質の存在量が窒素の供給量によって異なることが報告されている。したがって、窒素の供給量の違いは、これらの植物の成長量だけでなく、草体の生物分解特性に寄与する可能性がある。本研究では、日本の沿岸域に広く分布するアマモ(Zostera marina)に着目し、沿岸域の窒素供給が、ブルーカーボンとしての機能に与える影響について考察することを目的に行った下記の調査結果について報告を行う。

1)アマモの葉体の窒素含量の窒素供給環境に応じた変動

 温帯域の関東沿岸と亜寒帯域の北海道沿岸のアマモ場の堆積物中の窒素含量、および水中の栄養塩量と、アマモ葉体の部位別の窒素含量の関係性を調べた。

2)携帯式簡易窒素計によるアマモの葉体の窒素含量の測定可能性

 陸域の草本用の複数の携帯式簡易窒素計の計測値と、アマモ草体の部位別のクロロフィル量および窒素含量を比較し、アマモの窒素含量の推定にも有効に利用できる条件について考察した。

3)窒素供給環境と、アマモの構造物質や忌避物質の蓄積量との関係
  陸上植物に使用されるWise処理やFolin-ciocauteu法を用い、アマモ草体の構造物質量および忌避物質量を評価し、部位別に測定した窒素含量と合わせて考察した。