JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG57] 北極域の科学

コンビーナ:庭野 匡思(気象研究所)、鄭 峻介(北海道大学 北極域研究センター)、中村 哲(北海道大学大学院地球環境科学研究院)、小野 純(東京大学大気海洋研究所)

[ACG57-08] 西アラスカツンドラ域におけるミズコケ群落で土壌起源二酸化炭素の放出に対するクラスト地衣類の影響

*金 龍沅1 (1.アラスカ州立大フェアバンクス校)

キーワード:アラスカツンドラ、土壌起源二酸化炭素、ミズコケ、クラスト地衣類

土壌起源二酸化炭素の放出観測は、現在、北極域で気温の増加、凍土の融解、及び積雪の占有面積の変化に対応して年間陸域生態系で炭素収支の見積もりに相当な極めて大事な要素である。北極域で広く被覆したミズコケの生理生態学の役割は、活動層と凍土層の水分の蒸発を抑える機能を持っている重要である。クラスト地衣類は、ミズコケのみ侵入する植生である。しかしながら、土壌起源二酸化炭素の放出に対するツンドラで多く分布するミズコケのみ覆うクラスト地衣類の影響についても研究は、知られていない。そこで、土壌起源二酸化炭素の連続観測を2015・2016年度植生成長期間にミズコケちと、クラスト地衣類で被せたミズコケで行なった。それに合わせて、気温、地温と土壌水分も測った。その結果、2015年度は、両実験区から土壌起源二酸化炭素の放出は、有意な差は無かったが、2016年度は、クラスト地衣類の方で土壌起源二酸化炭素の放出が14%多かった。これは、クラスト地衣類の実験区で地温の増加によると考えられる。地温は、土壌起源二酸化炭素の放出を活性化する因子として広く知られている。但し、土壌水分は、2015・2016年度の有為の差異は、無かった。最後に、北極域で気温の増加に伴うクラスト地衣類の拡散とミズコケの枯死によって土壌から大気への二酸化炭素の放出が増えるだろうと考えられる。