JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG57] 北極域の科学

コンビーナ:庭野 匡思(気象研究所)、鄭 峻介(北海道大学 北極域研究センター)、中村 哲(北海道大学大学院地球環境科学研究院)、小野 純(東京大学大気海洋研究所)

[ACG57-P11] 大気テレコネクションとGDP成長率の共変動

*加藤 茜1立花 義裕1小松 謙介1安藤 雄太1 (1.三重大学大学院生物資源学研究科)

キーワード:国内総生産、南方振動、太平洋十年規模振動

気象や気候は、経済に影響を与えることが知られている。ここで、エルニーニョ現象や北極振動のようにある地域の気象が別の地域の気象に影響を与える(テレコネクション)ことがある。それと同様に、ある国の経済が別の国の経済に影響を及ぼすことがある。よって、気象・気候と経済の関係を調べる際には、遠隔的な影響を考慮しながら全球的な視点から調べることが必要である。しかし、そのような視点での研究例は存在しない。そこで、本研究では大気テレコネクションと各国の国内総生産(GDP)成長率の関連を調べ、経済活動と関連の深いテレコネクションパターンを明らかにすることを目的とする。
今回の研究では、太平洋十年規模振動(PDO)指数もしくは南方振動指数(SOI)とGDP成長率の間に関連があることが示唆された。多くの国のGDP成長率はPDO指数と負相関、SOIと正相関となった。また、GDP成長率を経験的直交関数(EOF)解析をしたところ、第1モードの指数と各国のGDP成長率の相関係数は、アフリカや東南アジアといった発展途上国を中心に負となった。このことから、第1モードは発展途上国と先進国の格差を表していると考えられる。さらに、第1モードの指数とPDO指数もしくはSOIの相関をとると、有意な相関が見られた。以上のことから、発展途上国と先進国の格差がこれらのテレコネクションパターンと関連している可能性を示唆された。