JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG58] 航空機・無人機観測による地球惑星科学の推進

コンビーナ:高橋 暢宏(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)、小池 真(東京大学大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻)、町田 敏暢(国立環境研究所)、篠田 太郎(名古屋大学宇宙地球環境研究所)

[ACG58-P06] 冬季福岡平野の境界層内超微小粒子数濃度の時空間変動-マルチコプターによる鉛直分布観測-

*林 政彦1安永 朗宏1原口 諒平2 (1.福岡大学理学部、2.福岡大学大学院)

キーワード:マルチコプターUAV、境界層、超微小粒子、高時空間分解能

DJI社製のマルチコプターに凝結式粒子計測装置と、気象センサー(気圧、気温、湿度)を搭載した(写真)対地高度200mまでの観測を、福岡の都市部と郊外の境界に位置する田村花立広場と生の松原海岸で、11月29日、30日、12月8日、9日の計4日間行った。11月29日は日の出から日の入り、他の3日間は日の出から正午ごろまで、30~40分の間隔で観測を行った。
 11月29日の日の出時は、地上から約60mまでで数濃度が高く、その上空の数濃度は低かった。時間の経過とともに、地上付近の数濃度は上昇、高濃度層も厚くなり、11:00ごろには地上から200mの間では、数濃度が均一になった。混合に伴い、数濃度は一度低下するが、午後には全層で数濃度が上昇した。日没前には、地上付近の数濃度が上空より高くなった。8:20ごろまでは、地上から約60m付近までの濃度が均一で、接地層と考えられる。また、その上空の低濃度領域は、当日の地面の発生源の影響を受けていない残余層であると考られる。時間の経過とともに、混合層が発達し、11:00ごろには、接地層は解消された。地表付近の数濃度が高くなった17時には、地表付近の温度が低下し、再び逆転層が形成され始めた。
 11月29日にみられた、接地層と残余層、上空の数濃度の上昇、混合層の発達に伴う全層での濃度の減少が、4日間の昼までのすべての観測で見られた。一方で、混合層が発達した後の数濃度については、高濃度となるケースと、低濃度のまま維持されるケースが200m間の全層であった。都市側から風が吹いた場合は高濃度、海や田園地帯から風が吹いた場合は低濃度になる傾向がみられた。また、朝の残余層の濃度は、前日の残余層の数濃度にかかわらず、2000~5000個/cm3程度であり、粒子生成されて時間の経っていない0.01μmの粒子の寿命が約5時間程度であることと整合的であった。