JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG60] 気候変動への適応とその社会実装

コンビーナ:石川 洋一(海洋研究開発機構)、山野 博哉(国立環境研究所)、大楽 浩司(筑波大学)、渡辺 真吾(国立研究開発法人海洋研究開発機構)

[ACG60-03] 確率台風モデルによって生成された疑似台風に対するSSTの影響

*鈴木 香寿恵1中野 慎也2高橋 洋3 (1.法政大学、2.統計数理研究所、3.首都大学東京)

キーワード:将来気候変動、台風、海面水温

気候モデルや領域気象モデルによって予測された将来気候下の台風のふるまいや,東京などの大都市へ到来する確率情報の創出を目的として確率台風モデルの開発を行っている。 これまで,詳細な確率的予測を行う上で気候モデルの出力結果内に発生する台風の数だけでは十分なサンプル数が得られず, 様々な手法によって人工的に台風を発生さ, その人工トラックを用いた台風の確率分布に関する先行研究が多くみられた(Nakajo et al. 2014など)。しかしながら, 気候モデル自体のバイアス問題を解決することが難しく, 将来変化量をGCMの出力結果から算出して確率分布をずらす・歪ませる等で将来気候下の台風トラック生成の実験が行われている。この問題に対して, 新たな確率台風モデルの開発を行い, このバイアス問題を別の手法を用いて解決することに取り組んだ。ここでは開発した確率台風モデルを用いた擬似温暖化実験を実施した結果について紹介する。 現在および将来気候変動下におけるMRI-AGCM実験結果中の台風トラックを元にそれぞれの最適化されたパラメータを算出し,その差分を気候変動量として現在気候で観測された台風トラックを用いて得られたパラメータに追加し,温暖化した将来気候下における台風を予測した。
さらに,エルニーニョ/ラニーニャ現象が発生している場合には,台風の発生位置やトラックが大きく変化することが知られており(Wang and Chan, 2002),本確率台風モデルによる台風のふるまいについてSSTに対する感度実験を行った結果について報告する。 これまでは台風トラックの生成には台風強度に関する情報が含まれていなかったが,台風強度についても示す予定である。