[ACG60-08] 気候変動によって瀬戸内海に流入する陸域負荷の季節変動は将来変化する?
キーワード:瀬戸内海、気候変動、地域気候モデル、代表的濃度パスシナリオ
将来の気候変動は、淡水や土砂、汚濁物質など陸域から瀬戸内海への負荷流出とそれらの季節変動に、どの程度影響を与えるだろうか?現在、平成30年12月に施行された気候変動適応法のもと、各自治体では気候変動の影響評価や適応策の検討が進められている。しかし、陸域からの流出の影響を強く受ける沿岸域・閉鎖性海域の水環境・生態系については、上記の問いに対する知見が十分でないことが重要な課題となっている。
本研究では、瀬戸内海の全集水域を対象とした分布型降水・汚濁負荷流出モデルを構築し、地域気候モデルNHRCM20 (気象研究所)により作成された地域気候変動予測データ(環境省)を活用して、現在気候と将来気候における陸域から湾灘への淡水、懸濁物質(SS)、汚濁物質(TN, TP)の流出量とその季節変動の将来変化を評価した。気候シナリオとしては現在気候HPA_m02(1984~2004年)と、代表的濃度パス(RCP)の一つであるRCP8.5将来気候HFA_rcp85_c3(2081~2100年)の各20年間を使用した。
予測計算の結果、将来気候においては豪雨などによる洪水の頻度は減るものの、洪水流量は現在気候よりも極端に大きくなることが示唆された。ただし、瀬戸内海の集水域全体の河川流量は約3%減少した。降水量の季節変動は、現在気候においては6月ないし7月に極大値を持つが、将来気候においては極大値は8月ないしは9月にシフトする。それに伴い河川流量の極大値も8月ないし9月にシフトする。将来気候におけるSSの流出量は、洪水流量の増加に伴って、最大で約1.5倍に増加する。一方、TNとTP の流出量の変化はほとんどなかった。SS、TN、TP流出量の季節変動に着目すると、将来気候における河川流量のピークシフトに連動して、流出の極大値も8月ないし9月にシフトした。
本研究では、瀬戸内海の全集水域を対象とした分布型降水・汚濁負荷流出モデルを構築し、地域気候モデルNHRCM20 (気象研究所)により作成された地域気候変動予測データ(環境省)を活用して、現在気候と将来気候における陸域から湾灘への淡水、懸濁物質(SS)、汚濁物質(TN, TP)の流出量とその季節変動の将来変化を評価した。気候シナリオとしては現在気候HPA_m02(1984~2004年)と、代表的濃度パス(RCP)の一つであるRCP8.5将来気候HFA_rcp85_c3(2081~2100年)の各20年間を使用した。
予測計算の結果、将来気候においては豪雨などによる洪水の頻度は減るものの、洪水流量は現在気候よりも極端に大きくなることが示唆された。ただし、瀬戸内海の集水域全体の河川流量は約3%減少した。降水量の季節変動は、現在気候においては6月ないし7月に極大値を持つが、将来気候においては極大値は8月ないしは9月にシフトする。それに伴い河川流量の極大値も8月ないし9月にシフトする。将来気候におけるSSの流出量は、洪水流量の増加に伴って、最大で約1.5倍に増加する。一方、TNとTP の流出量の変化はほとんどなかった。SS、TN、TP流出量の季節変動に着目すると、将来気候における河川流量のピークシフトに連動して、流出の極大値も8月ないし9月にシフトした。