JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-GE 地質環境・土壌環境

[A-GE40] 地質媒体における流体移動、物質移行 及び環境評価

コンビーナ:斎藤 広隆(東京農工大学大学院農学研究院)、濱本 昌一郎(東京大学大学院農学生命科学研究科)、小島 悠揮(岐阜大学工学部)、森 也寸志(岡山大学大学院環境生命科学研究科)

[AGE40-P03] 方向解析による花崗岩の割れ目ドメイン解析と透水性割れ目の関係:瑞浪超深地層研究所深度500m研究アクセス北坑道の例

*島田 耕史1丹羽 正和1竹内 竜史1天野 健治1 (1.国立研究開発法人日本原子力研究開発機構)

キーワード:透水性割れ目、ドメイン解析、花崗岩

花崗岩などの結晶質岩からなる地下深部の地下水流動は、割れ目系に大きく依存する。割れ目交差部、ステップ部、分岐(スプレー)部は、潜在的に線状の地下水高速流路となり得る。そのため、割れ目交差部の分布を把握する手法の適用性検討や高度化が重要である。岩体中である支配的な割れ目方向の分布領域を割れ目ドメインと呼び、ドメイン境界は割れ目交差部が密に発達する領域となっている。つまり、割れ目ドメインの空間分布の解明(ドメイン解析)は割れ目交差部を見出す単純な方法である。サイト規模における地質学的手法の高度化は、高レベル放射性廃棄物の地層処分に係るkm規模の範囲の地質学的割れ目や湧水の先進的な調査研究に反映することができる。
本研究では、花崗岩中の割れ目方向に基づくドメイン解析を、構造地質学的な手法であるステレオ投影、Strike Versus Traverse Distance (走向-測線距離) diagram(Marshak and Mitra, 1988)、Sequential Linked Median (逐次中央値連結) plot(Fisher, 1993)により実施した。ここでは瑞浪超深地層研究所深度500m研究アクセス北坑道で得られた割れ目データ(川本ほか, 2014a, b)を用いた。その結果、割れ目方向の傾向変化と透水性割れ目の分布の関係がより明確に示された。逐次中央値連結法について、区間3の移動中央値を用いる改良を施したところ、割れ目ドメイン境界(割れ目方向の大屈曲)およびドメイン内部で割れ目方向の傾向が小規模に屈曲変化(小屈曲)する場所と、透水性割れ目の分布(Ishibasi et al., 2016; 林田ほか, 2018; 日本原子力研究開発機構, 2020)がよく対応することが明らかとなった。すなわち、これら屈曲部に透水性割れ目の分布が集中している。大屈曲の一つは,深部との連結性の強い割れ目が集中する領域に一致する。発表では逐次中央値連結プロットの作成方法も示す。