JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW30] 水循環・水環境

コンビーナ:小谷 亜由美(名古屋大学 生命農学研究科)、林 武司(秋田大学教育文化学部)、福士 圭介(金沢大学環日本海域環境研究センター)、田上 雅浩(東京大学大学院工学系研究科)

[AHW30-P12] 犬吠埼温泉の深部コアを用いた温泉水の成因に関する考察

*手束 聡子1鎌田 愛1 (1.千葉科学大学)

キーワード:温泉、粘土、コア、水質組成

千葉県銚子市の犬吠埼温泉は、深度1000 m以上の地下水を泉源とするNa-Cl型の温泉である。これまでに、犬吠埼温泉の源泉は1万年から2万年前の古海水を起源とすることや、地質の影響を受けて海水と異なる成分濃度を示すことを報告した。本報告では、犬吠埼温泉の源泉の成因について知見を得ることを目的に、源泉井戸のボーリングコアおよび源泉深部の地層と考えられている愛宕山層群の岩石を分析し、犬吠埼温泉の源泉の成分組成との関連性について検討した。温泉水は犬吠埼温泉 “黒潮の湯” の源泉井戸から採取し、イオンクロマトグラフィーを用いてイオン成分を定量した。深度1280-1290 mのボーリングコアおよび愛宕山の岩石は、蛍光X線測定により成分分析、X線回折測定により結晶相の同定を行った。源泉は、現在の海水と比べCl⁻, Ca²⁺の濃度が高く、Na⁺, K⁺, Mg²⁺の濃度が低い傾向を示した。コアおよび岩石の主要成分の割合はSi >> Fe > Al > Ca > Kの順であり、結晶相としてQuartz,Mg-Calcite,Albite,Chlorite を含有していた。これらの結果は、Ca²⁺を溶出するCalciteや海水中のNa⁺, K⁺, Mg²⁺を取込みCl⁻やCa²⁺を放出するイオン交換性の珪酸塩鉱物が源泉の成因に関係していることを示唆している。