[AHW32-P01] 蔵王・御釜における水・熱・化学物質収支評価:序報
キーワード:御釜、水収支、化学成分収支、熱収支、地下水流動系
本研究は,蔵王カルデラにある火口湖・御釜の水・熱・化学物質収支を評価することによって,同カルデラにおける地下水流動系の実態を探ることを目的としている(図参照)。2019年6月以来,御釜の各収支評価を行う目的で船上観測や湖岸気象観測を行っている。また,最深点に水温ロガーを垂直方向に7台設置し,御釜の貯熱量変化を長期的に求める予定である.御釜の湖面標高は1,550 m, 最大水深約26 mで,pHは3.2~3.7の酸性湖である。今回は,御釜の各収支評価に関する手法と観測結果を紹介する。なお,御釜の水は地下水流出により濁川(にごりかわ)の涵養源となっており,この酸性水の流出は,下流生態系にも影響を及ぼしている。2019年10月の気象観測では,台風19号の影響がとらえられ,御釜では10月12日11:00~13日02:00の15時間で396 mmの雨量を観測した。この結果,西側斜面から流入する河川で比較的規模の大きな土砂流出が発生し,湖岸に堆積デルタが形成され,湖の埋積が進行している。