JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW32] 水圏生態系における物質輸送と循環:源流から沿岸まで

コンビーナ:伴 修平(公立大学法人 滋賀県立大学)、Adina Paytan(University of California Santa Cruz)、細野 高啓(熊本大学大学院先端科学研究部)、前田 守弘(岡山大学)

[AHW32-P22] 石垣島の水質組成とその変化に関する研究

*小田 理人1小寺 浩二1佐藤 篤来1 (1.法政大学文学部地理学科)

キーワード:石垣島、石灰岩、名蔵川、窒素汚染

八重山諸島の石垣島では、サンゴ礁等の貴重な沿岸環境が存在し、島内を流下する陸水が沿岸環境に与える影響は非常に大きなものとなっている。同島では赤土の流出などの問題が以前から発生しており、名蔵川、轟川などの河川を中心に、土砂、栄養塩などによる水質組成の形成に関する研究が行われてきた。当研究室では、2006~2011年と2018年以降、石垣島において調査を実施しており、過去の研究データと最近の調査結果の比較について報告する。
 石垣島の水質組成は、日本の平均的な河川と比較すると圧倒的に溶存成分が多くなっており、アルカリ土類炭酸塩型に分類されるものである。特にNa-Cl型とCa-HCO3型の分布が顕著にみられる。これは石灰岩地域であるという地質条件や、海塩、農業等の影響が考えられる。畑作地域、市街地においては窒素汚染が著しく、特に市街地では亜硝酸やアンモニアの成分が多く検出された地域が見られた。排水処理の不十分な地域が存在するものとみられる。
 今後は地元市民団体等との協力により、更なるサンプルの採取を進め、長期的な調査によるデータの蓄積と、過去の研究データとの比較から水質組成の変化を明らかにし、周辺環境への影響についての研究を進めていく必要がある。