JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW33] Prediction of water and sediment dynamics from small to large scales

コンビーナ:横尾 善之(Fukushima University)、浅野 友子(東京大学)

[AHW33-04] 流域スケールの貯留関数モデルに含まれている流量貯留関係の指数に対してポイントスケールにおける鉛直不飽和浸透流が及ぼす影響

*谷 誠1松四 雄騎2佐山 敬洋2Sidle Roy3小島 永裕4 (1.人間環境大学、2.京都大学防災研究所、3.中央アジア大学、4.滋賀県琵琶湖環境科学研究センター)

キーワード:鉛直不飽和浸透流、貯留関数、洪水流出応答、水文過程のスケール依存性

地殻変動帯の山地流域における洪水流出応答がなぜ流量と貯留量の指数関数関係に基づく単純な流出モデル(貯留関数)でシミュレートできるのかを議論するため、リチャーズ式に基づく鉛直不飽和浸透流による数値実験を実施した。 その結果、減水過程における土壌コラム底面からの流出量と総貯留量の関係は、定常状態における一定強度の流出量と貯留量との関係に見いだされる指数関数関係によって近似されることがわかった。また、その指数関数関係における指数(いわゆる貯留関数のp)の値は、土壌コラムの厚さが小さいときに最大値の1に近づき、コラムの厚さが大きくなると小さくなって、その対象としている土壌における飽和透水係数の体積含水率に対する関係における指数に近づいてゆくことも明らかになった。この結果は、ポイントスケールにおける鉛直不飽和浸透流が流域スケールにおける洪水流出応答の形成において重要な物理的な役割を果たしている可能性を強く示唆している。