JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW36] 都市域の水環境と地質

コンビーナ:林 武司(秋田大学教育文化学部)

[AHW36-P06] 気象予測への活用に向けた詳細な地表面状態量予測手法の構築に関する検討

*名生 有希1相馬 一義1 (1.山梨大学)

キーワード:地表面状態量推定、地表面温度、陸面過程モデル(SiBUC)、太陽放射コンソーシアムデータ、都市活動情報

近年日本では、晴れた状態から積乱雲が急速に発生・発達し非常に狭い範囲に短時間で強い雨をもたらす、局地的大雨が増加し問題となっている。局地的大雨に対して地表面状態、特に都市の存在が与える影響が指摘されており、降水短期予報の中核をなす数値気象モデルへ、都市を含む詳細な陸面過程が導入されてきた。そのような数値気象モデルによる予報を有効に行うためには、予測開始時間における地表面状態(地表面温度等)についても詳細なデータを用いる必要がある。日本では日射量と降水量について静止気象衛星と降水レーダーに基づく空間解像度の高いデータが提供されており、詳細な都市活動情報と組み合わせた地表面状態量推定が有効となる可能性がある。

以上を踏まえて本研究では、陸面過程モデルに静止気象衛星に基づく日射量データ、気象庁解析雨量データと詳細な都市活動情報データを与え現実的な地表面状態量を推定するシステムを構築する。さらに京阪神地域における1ヵ月程度の地表面状態量の推定を行いその精度を評価する。

本研究では、大気の境界条件(1時間毎の風速・気温・湿度・下向き長波放射)を与えるために、気象庁メソ客観解析データの初期値(空間解像度5km、3時間毎)を1時間毎に線形内挿をして用いる。さらに、降水量に関しては気象庁客観解析データ(空間解像度1km、30分毎)について毎正時のデータを抽出し、日射量(下向き短波放射)については静止気象衛星ひまわりに基づく太陽放射コンソーシアムデータ(空間解像度1km、30分毎)のデータに基づいて毎正時データを抽出した。土地利用については国土数値情報(2009年調査に基づく;空間解像度約100m)より各セル内の人工的土地被覆(建物、道路)、混合林、草地、畑地、水田が占める割合を計算した。人工顕熱排熱量分布については野依ら(印刷中)[1]による推定値(空間解像度約1km)を、建物階数割合分布はArcGIS Data Collection 詳細地図2011(株式会社ゼンリン Zmap-AREAⅡ(2010-2版)に基づく)より与えた。このような詳細な都市活動データの活用と任意のグリッドに対応可能とした点が先行研究と比較した改良点である。

これらを陸面過程モデルSimple Biosphere model including Urban Canopy(SiBUC)に入力する。SiBUCは植生・水体・都市の3つのサブモデルから構成され、各サブモデルにおいて蒸発散量・顕熱輸送量を推定し、地表面の熱収支式・放射収支式・水収支式から時々刻々の地表面状態量の変化量を計算し、前の時刻の値に加えることで地表面状態量を推定する。

本研究では、詳細な地表面状態量推定手法に基づく陸面過程モデルSiBUCの計算を、京都大学等が局地的大雨集中観測を行った2018年8月の京阪神地方を対象に、2018年8月1日 09:00JSTから31日分行った。高山ら(2016年)が気象予測実験を行った領域(480km×480km;空間解像度約2km)について計算した。

屋根面温度分布の推定結果について、山梨大学が現地観測を行っている神戸市住吉小学校屋上に最も近いセルを抽出し、観測地と比較して検証を行った。検証は、まず1時間毎の屋根面温度データ観測値と地表面状態量推定手法による推定値から各日の最高・最低・平均屋根面温度を8月1か月分抽出した。次に抽出した日最高・日最低・日平均屋根面温度について、観測値と推定値を比較して平均誤差(ME)・平均平方二乗誤差(RMSE)・相関係数(CC)を計算した。CCに関してはすべてが0.8を超える高い相関を示した。MEは、日平均・日最高・日最低屋根面温度の順に小さくなった。CCに関してはすべてが0.8を超える高い相関を示した。日最高屋根面温度についてMEおよびRMSEが高くなった理由として、SIBUCにおいて熱収支計算時に人工排熱量を純放射量に足しているため、地中熱流量(建物貫入熱量)が増加すること、設定した屋根面のアルベド(反射率)が住吉小学校屋上の値よりも低かったことが考えられる。

本研究では、陸面過程モデル(SiBUC)に静止気象衛星に基づく日射量データ、気象庁解析雨量データと詳細な都市活動情報を与え現実的な地表面状態量を推定するシステムを構築した。1ヵ月程度の地表面状態量分布推定結果と観測地との比較から、日平均・日最高・日最低屋根面温度について、日々の観測地と比較して高い相関を示すことが分かった。日最高屋根面温度について過大評価傾向がみられ、SIBUCにおいて熱収支計算時に人工排熱量の影響を純放射量に足すことにより考慮していること、設定した屋根面温度のアルベド(反射率)が住吉小学校屋上の値よりも低かったことが理由として考えられる。

近年日本では、晴れた状態から積乱雲が急速に発生・発達し非常に狭い範囲に短時間で強い雨をもたらす、局地的大雨が増加し問題となっている。局地的大雨に対して地表面状態、特に都市の存在が与える影響が指摘されており、降水短期予報の中核をなす数値気象モデルへ、都市を含む詳細な陸面過程が導入されてきた。そのような数値気象モデルによる予報を有効に行うためには、予測開始時間における地表面状態(地表面温度等)についても詳細なデータを用いる必要がある。日本では日射量と降水量について静止気象衛星と降水レーダーに基づく空間解像度の高いデータが提供されており、詳細な都市活動情報と組み合わせた地表面状態量推定が有効となる可能性がある。

以上を踏まえて本研究では、陸面過程モデルに静止気象衛星に基づく日射量データ、気象庁解析雨量データと詳細な都市活動情報データを与え現実的な地表面状態量を推定するシステムを構築する。さらに京阪神地域における1ヵ月程度の地表面状態量の推定を行いその精度を評価する。

本研究では、大気の境界条件(1時間毎の風速・気温・湿度・下向き長波放射)を与えるために、気象庁メソ客観解析データの初期値(空間解像度5km、3時間毎)を1時間毎に線形内挿をして用いる。さらに、降水量に関しては気象庁客観解析データ(空間解像度1km、30分毎)について毎正時のデータを抽出し、日射量(下向き短波放射)については静止気象衛星ひまわりに基づく太陽放射コンソーシアムデータ(空間解像度1km、30分毎)のデータに基づいて毎正時データを抽出した。土地利用については国土数値情報(2009年調査に基づく;空間解像度約100m)より各セル内の人工的土地被覆(建物、道路)、混合林、草地、畑地、水田が占める割合を計算した。人工顕熱排熱量分布については野依ら(印刷中)[1]による推定値(空間解像度約1km)を、建物階数割合分布はArcGIS Data Collection 詳細地図2011(株式会社ゼンリン Zmap-AREAⅡ(2010-2版)に基づく)より与えた。このような詳細な都市活動データの活用と任意のグリッドに対応可能とした点が先行研究と比較した改良点である。

これらを陸面過程モデルSimple Biosphere model including Urban Canopy(SiBUC)に入力する。SiBUCは植生・水体・都市の3つのサブモデルから構成され、各サブモデルにおいて蒸発散量・顕熱輸送量を推定し、地表面の熱収支式・放射収支式・水収支式から時々刻々の地表面状態量の変化量を計算し、前の時刻の値に加えることで地表面状態量を推定する。

本研究では、詳細な地表面状態量推定手法に基づく陸面過程モデルSiBUCの計算を、京都大学等が局地的大雨集中観測を行った2018年8月の京阪神地方を対象に、2018年8月1日 09:00JSTから31日分行った。高山ら(2016年)が気象予測実験を行った領域(480km×480km;空間解像度約2km)について計算した。

屋根面温度分布の推定結果について、山梨大学が現地観測を行っている神戸市住吉小学校屋上に最も近いセルを抽出し、観測地と比較して検証を行った。検証は、まず1時間毎の屋根面温度データ観測値と地表面状態量推定手法による推定値から各日の最高・最低・平均屋根面温度を8月1か月分抽出した。次に抽出した日最高・日最低・日平均屋根面温度について、観測値と推定値を比較して平均誤差(ME)・平均平方二乗誤差(RMSE)・相関係数(CC)を計算した。CCに関してはすべてが0.8を超える高い相関を示した。MEは、日平均・日最高・日最低屋根面温度の順に小さくなった。CCに関してはすべてが0.8を超える高い相関を示した。日最高屋根面温度についてMEおよびRMSEが高くなった理由として、SIBUCにおいて熱収支計算時に人工排熱量を純放射量に足しているため、地中熱流量(建物貫入熱量)が増加すること、設定した屋根面のアルベド(反射率)が住吉小学校屋上の値よりも低かったことが考えられる。

本研究では、陸面過程モデル(SiBUC)に静止気象衛星に基づく日射量データ、気象庁解析雨量データと詳細な都市活動情報を与え現実的な地表面状態量を推定するシステムを構築した。1ヵ月程度の地表面状態量分布推定結果と観測地との比較から、日平均・日最高・日最低屋根面温度について、日々の観測地と比較して高い相関を示すことが分かった。日最高屋根面温度について過大評価傾向がみられ、SIBUCにおいて熱収支計算時に人工排熱量の影響を純放射量に足すことにより考慮していること、設定した屋根面温度のアルベド(反射率)が住吉小学校屋上の値よりも低かったことが理由として考えられる。