JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS18] 陸域と海域をつなぐ水循環と、沿岸域の海洋循環・物質循環

コンビーナ:木田 新一郎(九州大学・応用力学研究所)、田中 潔(東京大学)、山崎 大(東京大学生産技術研究所)、速水 祐一(佐賀大学)

[AOS18-P06] 三陸沿岸の表層水温・クロロフィルa濃度変動と大槌湾内環境への影響

*劉 軒禹1伊藤 幸彦1堤 英輔1田中 潔1 (1.東京大学)

キーワード:三陸沿岸、大槌湾、データ解析

大槌湾は三陸中部の典型的なリアス型湾であり、海域の生産性と湾内の地形を生かした定置網漁業や養殖が行われている。大槌湾は半開放的な湾であり、湾内の生物生産には河川に加えて、湾外を流れる津軽暖流、親潮、黒潮系の外洋水の影響が示唆されている。湾口および湾内の環境を連続的に調べた先行研究では、津軽暖流と親潮の季節的な消長に連動するように、湾内の水温・塩分環境が大きく変動する様子が捉えられた。しかし、湾外の水塊・低次生産と湾内環境の関係は十分には調べられていない。そこで本研究では、衛星データと大槌湾内の水温モニタリングデータの解析により、湾外における水塊・低次生産の変動特性を把握し、湾内環境が湾外の水塊変動にどのようにリンクしているか明らかにすることを目的とする。三陸沖を対象とし、ひまわり8号およびMODIS Aquaの海面水温(SST)と海面クロロフィルa濃度の解析を行い、大槌湾の赤浜沖海象ブイの水温データと比較した。MODIS Aquaの2003-2018年の月平均値に基づくと、夏〜秋季には北緯39°から39.5°にSSTの南北境界が見られた。また、クロロフィルa濃度は、東南方向から北西方向に高まっていた。これらは、夏から秋に三陸沖を南下する津軽暖流と、北西の親潮との間のコントラストを反映していると考えられる。冬季は沿岸部で水温が高く、クロロフィルa濃度は低かった。これは津軽暖流の沿岸モードと整合的であった。湾内ではSSTと亜表層水温の季節変動傾向が顕著に異なっており、湾外から湾内亜表層へ海水流入が示唆された。