JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS28] 海洋物理学一般

コンビーナ:川合 義美(国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球環境部門 海洋観測研究センター)、北出 裕二郎(東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科)

[AOS28-P08] 縁辺海海底地形データに対する潮高補正の適用

*上原 克人1 (1.九州大学)

キーワード:海底地形、潮汐、水深

海底地形は潮汐などの海洋流動現象を規定する主要因子の一つであり、数値モデルにて使用する地形データの精度は計算結果の信頼性に大きく影響する。発表者は縁辺海潮汐モデルの精度向上を目的として、東シナ海・南シナ海海底地形グリッドデータを独自に作成しているが、これまでデータ作成にあたって低潮位に相当する海図水深のゼロ点と平均海面との差(潮高補正値z0)を考慮せず、海図記載の水深値をそのまま採用してきた。この場合に得られる水深は、平均海面から測った水深よりも潮差の半分だけ小さく、両水深の相対的な差は、岸近くの浅い海域や潮間帯では決して小さくない。そこで本研究では、日英中韓の潮汐表記載の験潮所における潮高補正値を用いて海図水深を平均海面準拠の値に簡易的に変換する手法を開発し、海図水深の基準高度の変更が潮汐モデル結果にどの程度影響するかを調べた。その結果、潮高補正値が概ね1m以下である日本周辺海域では、基準海面高度の変化に伴うM2潮振幅の推算結果の差は概ね3センチ以内で、顕著な違いは見られなかった反面、潮差が大きい韓国西海岸やボルネオ島北東沿岸域などではM2潮振幅の推算値の差が数十センチに達し、沿岸域の振幅分布にも影響することが明らかになった。東シナ海に関しては、潮高補正を考慮することでモデル結果と験潮所の観測値とのRMS偏差が約2割近く減少した。さらに、近年電子海図の水深情報を積極的に採用している全球水深データ(GEBCO2019)を調べたところ、潮高補正の影響が考慮されていないことが明らかになった。潮差が大きい海域で使用する場合には注意が必要である。