JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS29] 「国連海洋科学の10年」に向けた海洋研究計画の提案と議論

コンビーナ:安藤 健太郎(海洋研究開発機構)、近藤 能子(長崎大学)、岡 英太郎(東京大学大気海洋研究所)、Sanae Chiba(JAMSTEC)

[AOS29-01] 「国連海洋科学の10年」の実行計画で目指すもの

★招待講演

*植松 光夫1,2 (1.東京大学、2.埼玉県環境科学国際センター)

キーワード:SDG 14、ユネスコ政府間海洋科学委員会、国連海洋科学の10年

「国連海洋科学の10年」の実行計画(IP)は、科学行動計画(SAP)、能力開発計画(CD)、ガバナンス、モニタリング、報告、コミュニケーションなどについて具体的な計画をどう立案していくかのガイドラインが示されるものである。Co-designを推進するために、科学者だけではなく、民間企業、資金提供機関、国連関連機関などとも会合の機会を設けている。また、若手海洋専門家 (ECOP)の育成も考慮し、実行計画案の作成時から若手研究者を実行計画に関するワークショップやネット会議などへの参加、議論に加わる機会を設けている。
 科学行動計画の目的は、(1)変革の科学と教育能力の向上、(2)海洋観測および知識システムの拡大、革新、統合、(3)海洋システム全体の理解と予測、(4)統合評価と意思決定支援システムの開発と有効化の4つを掲げている。
 その持続可能な開発目標の社会的成果として、期待されるものは、(1)汚染が劇的に減少した「きれいな海」。(2)海洋生態系がマッピングされ、守られること、気候変動を含む多くの影響が調査されて軽減され、海洋生態系サービスの提供が維持できる「健全な海洋」。(3)社会が現在および将来の海洋状況を理解し、その変化と人々の暮らしへの影響を予測できる「海洋プロセスの予測」。(4)人間社会が海洋の危険から守られ、海上および沿岸での活動の安全と安心が確保される「安全な海」。(5)将来の人々の暮らしに必要な食料の継続的な供給を確立する「持続可能な手法で収穫される生産的な海」。最後に、(6)すべての国、利害関係者、人々が海洋のデータと情報にアクセスでき、関連する技術を共有し、人々の判断を伝えることができる「透明でアクセス可能な海洋」の6つに纏められる。
 「国連海洋科学の10年」については、研究者のみならず、地方自治体も含めた政策決定者、民間企業、NPO、一般市民も含めて、「グローバルに考え、ローカルに行動する」として、国を挙げて、できることに取り組んでいく必要がある。