[BBG02-05] 20億年前のロシア,Zaonega層に記録された窒素源の不均質性と微生物活動
キーワード:段階燃焼法、窒素同位体、初期原生代
約20億年前のロシアZaonega層の堆積岩試料に対して段階燃焼法による窒素の解放量と同位体比分析(δ15N)および40アルゴン(40Ar)の解放量の分析を行い,試料中の窒素の捕獲相や供給源について推定を行った.浅海性および深海性堆積物として硬砂岩と黒色頁岩の分析を行った.分析は燃焼温度450oCまでで試料表面の吸着窒素を排出した後,500oCから800oCまで50oC刻みに,最後に1200oCで燃焼を行い,その都度解放される窒素を測定することで燃焼温度の違いに依存した構成成分ごとの評価を行った.
その結果,硬砂岩,黒色頁岩ともに似た傾向を示すことがわかった.窒素の解放量とδ15N値はバイモーダルなプロファイルとなり,δ15N値が0‰の成分と(成分1),δ15N値が+12‰の成分(成分2)の2つの異なる成分が両試料中に混在していることが明らかになった.このうち,成分1の窒素の解放量は40Arの解放量と相関しており,このことは0‰のδ15N値を持つ窒素が粘土鉱物に捕獲されている,あるいは粘土から窒素が解放されるのと同じ温度(比較的低温)で燃焼する有機物に固定されていることを意味している.一方で成分2には40Arとの相関が確認されず,このことは成分2が粘土鉱物とは無関係な,おそらくは有機物に固定された窒素であることを示している.δ15N値が+12‰というのはZaonega層の過去の研究で報告されている中でも最も重い値である.これはこの時代に酸化的な環境において微生物による窒素循環が行われており,その同位体分別の結果生成された値である可能性を示している.
成分1に見られた,粘土鉱物に捕獲されたアンモニア態窒素の起源は現段階では不明である.粘土鉱物中のアンモニウムイオンは有機物から分解されたアンモニアが固定される場合があるが,δ15N値が0‰のアンモニアが,+12‰の有機物窒素から生成されるプロセスは存在しない.従って成分1の窒素源が何であれ,成分2の窒素源とは異なっていたことは明確である.
以上の結果により,約20億年前のZaonega層堆積時に酸化的な海洋浅部における生態系で窒素循環が行われていたことを明らかにした(成分2).その一方で,海洋堆積物表層あるいは直下において,浅海部生態系とは全く異なる窒素源=栄養源を利用する独立した生態系(成分1)が存在した可能性を示した.また,これら両方の生態系が同じ堆積盆の中に存在していたことを示しており,過去の研究からの予測とも整合的な結果であることがわかった.本研究の成果により,初期原生代における炭素,窒素のサイクルがこれまで考えられてきたよりも複雑であり,これを読み解くために高感度,微量,微小領域分析が有効であることを示された.
その結果,硬砂岩,黒色頁岩ともに似た傾向を示すことがわかった.窒素の解放量とδ15N値はバイモーダルなプロファイルとなり,δ15N値が0‰の成分と(成分1),δ15N値が+12‰の成分(成分2)の2つの異なる成分が両試料中に混在していることが明らかになった.このうち,成分1の窒素の解放量は40Arの解放量と相関しており,このことは0‰のδ15N値を持つ窒素が粘土鉱物に捕獲されている,あるいは粘土から窒素が解放されるのと同じ温度(比較的低温)で燃焼する有機物に固定されていることを意味している.一方で成分2には40Arとの相関が確認されず,このことは成分2が粘土鉱物とは無関係な,おそらくは有機物に固定された窒素であることを示している.δ15N値が+12‰というのはZaonega層の過去の研究で報告されている中でも最も重い値である.これはこの時代に酸化的な環境において微生物による窒素循環が行われており,その同位体分別の結果生成された値である可能性を示している.
成分1に見られた,粘土鉱物に捕獲されたアンモニア態窒素の起源は現段階では不明である.粘土鉱物中のアンモニウムイオンは有機物から分解されたアンモニアが固定される場合があるが,δ15N値が0‰のアンモニアが,+12‰の有機物窒素から生成されるプロセスは存在しない.従って成分1の窒素源が何であれ,成分2の窒素源とは異なっていたことは明確である.
以上の結果により,約20億年前のZaonega層堆積時に酸化的な海洋浅部における生態系で窒素循環が行われていたことを明らかにした(成分2).その一方で,海洋堆積物表層あるいは直下において,浅海部生態系とは全く異なる窒素源=栄養源を利用する独立した生態系(成分1)が存在した可能性を示した.また,これら両方の生態系が同じ堆積盆の中に存在していたことを示しており,過去の研究からの予測とも整合的な結果であることがわかった.本研究の成果により,初期原生代における炭素,窒素のサイクルがこれまで考えられてきたよりも複雑であり,これを読み解くために高感度,微量,微小領域分析が有効であることを示された.