[BCG06-12] クライオジェニア紀後期の海綿様粒子と負の炭素同位体エクスカーション
キーワード:クライオジェニア紀、海綿動物
多細胞動物は全球凍結イベントを経て進化した。現時点での最古の確実な動物化石はエディアカラ紀の胚化石であるが,クライオジェニア紀からも海綿動物の存在を暗示するバイオマーカーや化石の報告がいくつかある。その例として、南オーストラリアで報告された内部に水管システムを持つ海綿様粒子がある(Maloof et al. 2010)。しかし、これは石化した微生物マットが破断したものという意見もある (Anticliff et al. 2014)。
海綿様粒子が含まれるフリンダーズレンジのTrezona層は、総厚156 mの浅海成石灰岩と頁岩の互層である。石灰岩の炭素同位体比は概ね−9〜−7‰の範囲にあり、マリノアン氷期直前のTrezona excursionに対比できる。粒子は長径20 mm以下のものが多く、様々な色や形状の特徴をもつ。それらのうち、湾曲した外形で内部に間隙を持つ茶褐色のタイプが、Maloof et al. (2011)の海綿様構粒子にあたる。粒子内部の間隙は厚さ0.1–0.2 mm、 幅は1–2 mm µm程度であり、互いに交差しハニカム構造を作る。
EPMAとXRDによる分析結果はヘマタイトが粒子内に散在することを示す。この産状は顕生代の棘皮動物粒子にも認められる。棘皮動物骨格が持つsteroemというµmサイズの網目状の間隙に鉄酸化物が沈着することでできる。すなわち、海綿様粒子は細かな網目状間隙を持っていた可能性がある。これが海綿動物の小孔であり,ハニカム構造が大孔に相当するのかもしれない。そう考えると、この動物は湾曲をもつ平板型の骨格を分泌し、古生代の層孔虫のような生態を持っていたことになる。これは最古のバイオミネラリゼーションということになる。
この時期にあったδ13C のTrezona excursionは、エディアカラ紀中期のShrum excursionと同様に懸濁有機物の酸化分解によるものと考えられており、その酸化を担ったのが海綿動物による有機物分解であるという仮説もある (Sperling et al. 2018)。最古のバイオミネラリゼーションを行なった海綿動物はスターチアン全球凍結で絶滅し、その後、骨格を持たない海綿動物がエディアカラ紀後期に繁栄した、バイオミネラリゼーションは約8千万年のギャップを経て、エディアカラ紀末のCloudina類により再開されたことになる。
海綿様粒子が含まれるフリンダーズレンジのTrezona層は、総厚156 mの浅海成石灰岩と頁岩の互層である。石灰岩の炭素同位体比は概ね−9〜−7‰の範囲にあり、マリノアン氷期直前のTrezona excursionに対比できる。粒子は長径20 mm以下のものが多く、様々な色や形状の特徴をもつ。それらのうち、湾曲した外形で内部に間隙を持つ茶褐色のタイプが、Maloof et al. (2011)の海綿様構粒子にあたる。粒子内部の間隙は厚さ0.1–0.2 mm、 幅は1–2 mm µm程度であり、互いに交差しハニカム構造を作る。
EPMAとXRDによる分析結果はヘマタイトが粒子内に散在することを示す。この産状は顕生代の棘皮動物粒子にも認められる。棘皮動物骨格が持つsteroemというµmサイズの網目状の間隙に鉄酸化物が沈着することでできる。すなわち、海綿様粒子は細かな網目状間隙を持っていた可能性がある。これが海綿動物の小孔であり,ハニカム構造が大孔に相当するのかもしれない。そう考えると、この動物は湾曲をもつ平板型の骨格を分泌し、古生代の層孔虫のような生態を持っていたことになる。これは最古のバイオミネラリゼーションということになる。
この時期にあったδ13C のTrezona excursionは、エディアカラ紀中期のShrum excursionと同様に懸濁有機物の酸化分解によるものと考えられており、その酸化を担ったのが海綿動物による有機物分解であるという仮説もある (Sperling et al. 2018)。最古のバイオミネラリゼーションを行なった海綿動物はスターチアン全球凍結で絶滅し、その後、骨格を持たない海綿動物がエディアカラ紀後期に繁栄した、バイオミネラリゼーションは約8千万年のギャップを経て、エディアカラ紀末のCloudina類により再開されたことになる。