JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-CG 地球生命科学複合領域・一般

[B-CG07] 顕生代の生物多様化:放散と絶滅

コンビーナ:磯崎 行雄(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻広域システム科学系)、澤木 佑介(東京大学大学院総合文化研究科)

[BCG07-P01] 日立地域カンブリア系赤沢層変成凝灰岩中の海綿化石の内部組織観察

*田切 美智雄1塙 勝利2及川 晃2渡邉 則昭3 (1.日立市郷土博物館、2.ジオネット日立、3.東北大学環境科学研究科)

キーワード:カンブリア系、変成凝灰岩、普通海綿化石、X線CTスキャン、細胞形態、再結晶骨針組織

阿武隈山地南端の日立古生層にはカンブリア系が含まれ、その中の変成凝灰岩中に普通海綿化石が産することを既に報告した。この海綿化石の内部組織について、実体顕微鏡や偏光顕微鏡、さらにX線CTスキャンを用いて観察を行った。内部には直径1mm程度の潰された泡状の組織が多数観察され、それらは細管で繋がっている。また、泡状の組織には外壁と内壁が認められ、外壁内壁とも細かな縮緬皺が発達している。これらは細胞壁と思われる。ポスターでは、これらの内部組織をCTスキャン画像のアニメーションと3D造形によって示す。
泡状組織の間は極めて細粒のケイ酸塩鉱物で充填されており、その中に骨針と想定される針状の組織が認められるが、偏光顕微鏡観察ではそれらは針状角閃石の集合体で、骨針そのものは残っていない。しかし、白色珪酸質で微細な空孔を内包する海綿組織は残っている。これらの海綿化石は凝灰岩の中で微細組織が珪化されて残存したものである。