[G02-P06] 中学生が「避難所HUG」を体験
キーワード:自然災害、避難所運営
防災教育では往々にして「逃げる」面(被災を避ける)が強調されがちであるが、学校などの立地条件によっては「受け入れる」面(避難所の設置、被災者の保護など)についても日頃から備えをしておく必要がある。そこで最近は、防災をテーマとした教員免許状更新講習で、受講者には地震・津波 などの自然災害について最近の事例を紹介するとともに、「避難所HUG」をカリキュラムに加えており、教員・生徒の立場で被災者のために何ができるかといった視点に立って、避難所運営を疑似体験してもらっている。
避難所運営ゲーム「避難所HUG」は静岡県危機管理部によって開発されたゲーム形式の避難所運営体験ツールである。巨大地震・津波などの大規模な災害が起こると、あらかじめ市町村によって定められている学校や公民館などが避難所となる。そこに避難して来る人は、高齢者、病気を抱えた人、小さい子供を連れた人など、さまざまである。また、近年の国際化に伴い、地元在住・在勤の外国人の他、観光従事者に引率された観光客も避難して来る可能性が高い。プレイヤーは地元自治会、自主防災会の役員として、避難所を適切に運営していく立場にあることを想定している。避難者の属性や各自が抱える事情などが書かれたカード(避難者カード)を、避難所として想定された学校の体育館、教室に見立てた図面に如何に適切に配置していくか、災害地策本部からの通知や避難所からの要望などの記載されたカード(イベントカード)に如何に対応していくかなど、話し合い、意見を出し合いながら、チームワークと役割分担で、災害発生直後の避難所をどのように運営していったら良いかが模擬体験できる。ファシリテーターがカードを読み上げてプレイヤーのチームに渡し、プレイヤーはそれを受け取って対応することになる。
琉球大学附属中学校では毎年1回、総合的な学習の時間を利用して、大学教員による生徒への特設授業が開講されており、2019年度はその第10回に当たる。そこで、2019年11月28日(木)の14時10分より16時(5・6校時)に実施された特設授業で、附属中学校3年生14名を対象として、「リアル体験!避難所運営」を開講した。
当日の実施手順は以下の通りであった。
1. 導入、巨大災害、避難所の役割、ゲームの説明。<15分>
2. ゲーム実施。生徒を7名ずつの2チームに分ける。始めの10分程度はリハーサルとし、大体の要領がつかめた後に本番を実施。<50分>
3. 休憩時間<10分>
4. ゲーム終了後、振り返りを行い、感想を発表させる。<15分>
5. 授業評価アンケート記入。<15分>
教室内の配置としては、A1サイズの紙が置けるテーブルをチームの数だけ用意し、教室の壁際に配置した。また、壁際にはホワイトボードを置き、掲示板として使用した。敷地・体育館・教室の図面(避難所HUGセットに電子ファイルが用意されている)はファシリテーター側で用意した。
授業終了後のアンケートの結果、「授業の内容はわかりやすかったですか?」の問に対して、「わかりやすかった」が7名、「やや難しいところもあったけど、だいたいは理解できた」が7名、「授業の内容に興味は持てましたか?」の問に対して、「非常に興味深かった」が9名、「興味が持てた」が5名であった。また生徒からは、「今回授業を通してみて、避難所で行われているけが人、病人の対処方法などをみんなで考えて、避難所の運営がどれほどたいへんなのか、どのような人が来るのかが分かったのでよかったです!避難所のシミュレーションゲームでは、独身の人は同い年の人のとなりですごさせることや、老人はトイレの近くにいさせるなど、たくさんのことを考えてひなんさせることはとてもたいへんなことだとよく分かりました。こういう災害は起こってほしくないですが、いつきてもいいように対処することが、避難所の人の苦労のさくげんにもつながるので、これをいかして気をつけていこうと思いました!」「今日の体験を通して、普通では体験できない色んなことが学べました。実際におこったとき、この学習を通してどう行動するのかもっと考えないといけないなと思いました。難しかったけどためになったのでよかったです。」などの感想が寄せられた。
筆者が公民館や学童保育施設などで避難所HUGワークショップを実施した際、参加者の大半は成人男女であり、一部高校生が参加した回もあった。本特設授業は、筆者にとっては中学3年生を対象として実施した初めての試みであり、中学生がこのような場面で適切に行動できるかをみることもその目的の一つであった。結果として、中学生といえども大人と同様に行動することができ、併せて避難所運営の難しさを体感できたものと評価できる。中学生になると知力・体力が備わってきて、仮に学校が避難所に指定された場合でも充分に避難所運営に協力していけると確信することができた。
避難所運営ゲーム「避難所HUG」は静岡県危機管理部によって開発されたゲーム形式の避難所運営体験ツールである。巨大地震・津波などの大規模な災害が起こると、あらかじめ市町村によって定められている学校や公民館などが避難所となる。そこに避難して来る人は、高齢者、病気を抱えた人、小さい子供を連れた人など、さまざまである。また、近年の国際化に伴い、地元在住・在勤の外国人の他、観光従事者に引率された観光客も避難して来る可能性が高い。プレイヤーは地元自治会、自主防災会の役員として、避難所を適切に運営していく立場にあることを想定している。避難者の属性や各自が抱える事情などが書かれたカード(避難者カード)を、避難所として想定された学校の体育館、教室に見立てた図面に如何に適切に配置していくか、災害地策本部からの通知や避難所からの要望などの記載されたカード(イベントカード)に如何に対応していくかなど、話し合い、意見を出し合いながら、チームワークと役割分担で、災害発生直後の避難所をどのように運営していったら良いかが模擬体験できる。ファシリテーターがカードを読み上げてプレイヤーのチームに渡し、プレイヤーはそれを受け取って対応することになる。
琉球大学附属中学校では毎年1回、総合的な学習の時間を利用して、大学教員による生徒への特設授業が開講されており、2019年度はその第10回に当たる。そこで、2019年11月28日(木)の14時10分より16時(5・6校時)に実施された特設授業で、附属中学校3年生14名を対象として、「リアル体験!避難所運営」を開講した。
当日の実施手順は以下の通りであった。
1. 導入、巨大災害、避難所の役割、ゲームの説明。<15分>
2. ゲーム実施。生徒を7名ずつの2チームに分ける。始めの10分程度はリハーサルとし、大体の要領がつかめた後に本番を実施。<50分>
3. 休憩時間<10分>
4. ゲーム終了後、振り返りを行い、感想を発表させる。<15分>
5. 授業評価アンケート記入。<15分>
教室内の配置としては、A1サイズの紙が置けるテーブルをチームの数だけ用意し、教室の壁際に配置した。また、壁際にはホワイトボードを置き、掲示板として使用した。敷地・体育館・教室の図面(避難所HUGセットに電子ファイルが用意されている)はファシリテーター側で用意した。
授業終了後のアンケートの結果、「授業の内容はわかりやすかったですか?」の問に対して、「わかりやすかった」が7名、「やや難しいところもあったけど、だいたいは理解できた」が7名、「授業の内容に興味は持てましたか?」の問に対して、「非常に興味深かった」が9名、「興味が持てた」が5名であった。また生徒からは、「今回授業を通してみて、避難所で行われているけが人、病人の対処方法などをみんなで考えて、避難所の運営がどれほどたいへんなのか、どのような人が来るのかが分かったのでよかったです!避難所のシミュレーションゲームでは、独身の人は同い年の人のとなりですごさせることや、老人はトイレの近くにいさせるなど、たくさんのことを考えてひなんさせることはとてもたいへんなことだとよく分かりました。こういう災害は起こってほしくないですが、いつきてもいいように対処することが、避難所の人の苦労のさくげんにもつながるので、これをいかして気をつけていこうと思いました!」「今日の体験を通して、普通では体験できない色んなことが学べました。実際におこったとき、この学習を通してどう行動するのかもっと考えないといけないなと思いました。難しかったけどためになったのでよかったです。」などの感想が寄せられた。
筆者が公民館や学童保育施設などで避難所HUGワークショップを実施した際、参加者の大半は成人男女であり、一部高校生が参加した回もあった。本特設授業は、筆者にとっては中学3年生を対象として実施した初めての試みであり、中学生がこのような場面で適切に行動できるかをみることもその目的の一つであった。結果として、中学生といえども大人と同様に行動することができ、併せて避難所運営の難しさを体感できたものと評価できる。中学生になると知力・体力が備わってきて、仮に学校が避難所に指定された場合でも充分に避難所運営に協力していけると確信することができた。