JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-03] 小・中・高等学校,大学の地球惑星科学教育

コンビーナ:畠山 正恒(聖光学院中学高等学校)、丹羽 淑博(東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター)

[G03-05] 「地理院地図」で水害を考える

★招待講演

*小白井 亮一1 (1.国土交通省国土地理院)

キーワード:地学教育、地理院地図、水害、教材

地球温暖化に関係した気候変動が指摘される中、依然として日本列島では深刻な水害が多発している。昨年も、大雨による佐賀県での水害(8月)、台風19号による宮城県や長野県などの各地での水害(10月)、大雨による千葉県や福島県での水害(10月下旬)などがあり、記憶に新しい。このような水害に対して国土地理院では、航空写真の緊急撮影や「浸水推定図」の作成などを行い、災害対応に資するよう、関係機関へ迅速に提供してきた。また、これらの情報は地理院地図をとおして一般にも公開されている。
筆者は、このような災害情報が高校や大学での地学、地理教育に役立つと考えて、2018年JpGU大会の本セッション・タイトルにおいて『「地理院地図」で見えてくる災害と地形のつながり』と題した発表を行った。その後、この内容については、教科書会社への説明会(国土地理院主催)や教育関係者の研究会などにおいて紹介し、教育分野での地理院地図の活用・普及の一助としてきた。
今回、昨年の水害での複数の事例においても同様の検討を行い、ストーリー性を確保した教材の作成が可能であることを確認した。さらに、その作成手順の定式化も考察した。本発表では、最初に2018年の発表内容を簡単に振り返り、その後で新たに検討した事例(教材の素材)を紹介する。また、定式化を試みた作成手順についても触れたい。
地理院地図は、災害情報を含め、いろいろな情報が適宜追加されており、また機能も拡充されている。このため、地球惑星科学教育(地学、地理教育)に役立ちそうな事例を今後とも追求していきたい。