JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-04] 地球惑星科学のアウトリーチ

コンビーナ:小森 次郎(帝京平成大学)、植木 岳雪(千葉科学大学危機管理学部)、長谷川 直子(お茶の水女子大学)、大木 聖子(慶應義塾大学 環境情報学部)

[G04-06] 大学院での集中講義による法地質学教育

*杉田 律子1 (1.科学警察研究所)

キーワード:法地質学、大学院教育

2020年12月に熊本大学大学院において、地球科学を専攻する学生向けに2日間の法地質学に関する集中講義が開催された。国内の大学において、学生が単位を取得できる法地質学単独での集中講義としては初めての機会であったと推定される。本報告では本講義がどのように実施されたかを中心に紹介する。また、あわせて、これまでに講演者が行ってきたいくつかの講演についても併せて報告する。

法地質学は地質学を中心とした地球科学の知識や技術を事件や事故の捜査に活用する学術分野である。法地質学に限らず法科学全般に言えることであるが、日本では警察の附属機関を中心に研究が行われており、ごく一部の分野を除いては大学で研究テーマとして取り上げられることはほとんどない。一方、海外では大学や公立・私立の研究機関が積極的に関与している例も多くある。

法科学では事件・事故の証拠資料を扱うことから、自然科学の研究とは少し違った視点で対象物を見る必要がある。そのため、これまでのすでに行われた研究で得られたネガティブデータと考えられたデータも含めた結果も、法科学的な研究では有用な知見が得られる可能性もある。しかし、法科学教育が実施されていないことから、その機会が失われているものと考えられる。

そこで、今回の講義では法科学とは何かということからスタートし、法地質学の概論や簡単な実習を行った。この講義は講演者にとって初めてのケースであり、手探りでの実施となったが、今後、機会が与えられれば、改善を加えて、より理解しやすい講義を実施することができるものと考えている。このような機会を増やすことにより、法地質学の発展のみならず、地質学が社会に貢献できる場も拡大していくことができるのではないか。