JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-04] 地球惑星科学のアウトリーチ

コンビーナ:小森 次郎(帝京平成大学)、植木 岳雪(千葉科学大学危機管理学部)、長谷川 直子(お茶の水女子大学)、大木 聖子(慶應義塾大学 環境情報学部)

[G04-09] 「震源の位置を推定しよう」ポータブルキットの製作と活用

*室谷 智子1佐野 貴司1前島 正裕1酒井 清武1 (1.国立科学博物館)

キーワード:博物館、震源推定、体験型シミュレーション

国立科学博物館(以下,科博)の地球館2階「科学技術で地球を探る B. 地球を探るサイエンス」エリアにおいて展示している「震源の位置を推定しよう」は,どのようにして地震の震源を推定するのかをゲーム感覚で学ぶことができる体験型展示である(2015年夏より展示).

最大6名が同時に参加可能で,自ら観測点を選び,地震発生後の各観測点での地震波の到達時間から,どこで地震が発生したのかを各自が推定する.その後,震源の推定方法を説明するアニメーションによって答え合わせを行い,さらには再現確認を行うことで,なぜ震源がその位置なのかということをより納得できるような構成になっている.休日は子どもたちが途切れることなく展示を体験しているが,同時に,大人や地震学の専門家からの評価も高い.さらに多くの人々に地震の波の伝わり方,震源の推定の仕方を学んでもらえるようになればと,館内の常設展示だけでなく館外で使用することは可能かどうかを検討し,この度,どこにでも持ち運べるポータブルキットが完成した.


どこでも活用可!

ノート型PCを基本としているが,大型モニターやスクリーンなどがあれば,PCを接続して大画面での体験が可能である.実際の展示は,各プレーヤーが振動機能付きの椅子に座り(地震波が到達すると振動する仕組みとなっている),トラックボールによって観測点の選定や震源推定のための操作を行う.ポータブルキットでは椅子の振動ではなく,ポーチに収めた小型の振動装置を体に触れされることで地震波の到達を知り,トラックボール付きのマウスを操作することとした.


過去の地震データを利用!

日本全国を6地域に分け,順に地域と地震が変わる仕様となっており,震源を推定する地震は,平成7年(1995年)兵庫県南部地震や平成15年(2003年)十勝沖地震,2005年福岡県西方沖の地震,平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震など,1995年から2014年に実際に起きた18個の地震とした.


広がる利用の場!

本キットに対して想定される活用の場としては,科博で行っている学習支援事業(博物館実習やサイエンス・コミュニケーター養成講座,教員のための博物館の日など)に加え,巡回展,他の博物館・科学館,研究機関等への貸出,小・中学校等での授業,地震や防災に関する学会やイベントでの教育・アウトリーチ活動等が考えられる.

本キットは,ポスター会場内の科博の展示ブースにて体験することができる.