[HCG28-11] 市民対話からの環境ガバナンスへ――フクシマ後の日本における探索的事例研究
キーワード:対話、熟議、参加、民主主義、ガバナンス、フクシマ
2015年から2019年の5年間にわたって各年1回視聴覚設備を有する会場で無作為抽出型市民対話を行い、環境政策に関する市民どうし、および市民と専門家の対話の方法について検証し、多元的参加型環境ガバナンスのための対話文化醸成の可能性を探った。高レベル放射性廃棄物処分をテーマとした。会場は愛知県春日井市と静岡県御前崎市のいずれかで、2019年度には2会場をインターネットで接続して対話を行った。対話の方法として、(1)「否定しない、仕切らない、結論を出さない」という対話の作法、(2)異なる意見を有する専門家によるエビデンスかつ立場(判断の前提となる価値観)明示型プレゼンテーション、そして(3)小グループ市民対話の傍での、異なる意見の専門家によるリフレクティング(市民からの質問への回答と自由なコメント・対話)の3つを提案した。対話の方法(1)は5回の市民対話全てで適用し、方法(2)はうち4回で、そして方法(3)はその4回で、各回2つの小グループのうち1グループのみで適用した。5回で計53名の市民が参加した。対話への参加前後における、市民の対話への態度(自分と異なる他者の意見を受け入れなくとも受け止めて聴けるか、また話せるか)、地層処分場閉鎖後の長期的安全性など4つの政策争点に関する選好、そして自らの4つの政策選好選択に対する確信度について、それぞれ5点、5点、そして4点尺度で質問紙調査により変化の有無を測定した。統計解析の結果、提案した対話手法は、対話への態度をより肯定的にし、また自己内対話(熟慮)を促進することが示唆された。