JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG28] 原子力と地球惑星科学

コンビーナ:笹尾 英嗣(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 東濃地科学センター)、幡谷 竜太(一般財団法人 電力中央研究所)、竹内 真司(日本大学文理学部地球科学科)

[HCG28-P01] 高レベル放射性廃棄物地層処分に係る地震活動・断層運動の影響評価モデルの高度化に関する情報収集・整理の検討

*川村 淳1 (1.日本原子力研究開発機構)

キーワード:高レベル放射性廃棄物地層処分、地震活動・断層運動、概念モデル、影響評価モデル

地震活動・断層運動は、高レベル放射性廃棄物地層処分の安全性に影響を与える可能性のある自然現象の一つとみなされている。日本原子力研究開発機構では、断層の活動性及び地震活動・断層運動に伴う水理学的・力学的影響の調査・評価技術について、従来の地形・地質学的手法に加え、地球物理学、地球化学、地球年代学等の各手法を組み合わせた調査・評価技術の体系的整備の観点から、事例の蓄積を通じた高度化研究を進めている。
地震活動・断層運動に伴う水理学的・力学的影響についての評価技術については、今までも「地震活動・断層運動の概念モデル」が構築されている(例えば;川村ほか、2010)。しかしながら、この概念モデルは汎用性及び一般論的な観点を重視した定性的なものであり、数値的な解析にかかわるパラメータ設定の際に参照される数値データが整理されてこなかった。
地震活動・断層運動のうち、特に活断層等の分布に関しては、地表踏査等による地形・地質学的手法により把握されている。しかしながら、地表踏査では地表露頭など地表から見える範囲での調査・観察になり、地層処分技術の研究開発で必要な地下1000mを超える地下深部への連続性などの情報が把握されているわけではない。また、断層周辺に形成されると考えられているダメージゾーンの把握についても、特に地表での植生の多い我が国においては、それの性状や範囲を把握することは非常に困難である。
そのため本検討では、過去に発生した比較的大きな地震活動・断層運動を対-象に、気象庁、大学などの研究機関で公開されている情報を収集・整理し、地震活動・断層運動の概念モデルに対し具体的な情報の付与を試みた。その結果、従来の地形・地質学的手法による情報のみならず、地震観測などの地球物理学的な手法を組み合わせることにより、より具体的な概念モデルが構築できる見通しを得た。
【謝辞】本報告は経済産業省資源エネルギー庁委託事業「平成31年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(地質環境長期安定性評価技術高度化開発)」の成果の一部を利用した。
【引用】川村ほか(2010):JAEA-Research 2010-027.