JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG31] 海岸低湿地における地形・生物・人為プロセス

コンビーナ:藤本 潔(南山大学)、宮城 豊彦(㈱アドバンテクノロジー)

[HCG31-P02] マングローブ林における土砂輸送過程への海面上昇影響の一考察

*古川 恵太1藤本 潔2小野 賢二3渡辺 信4谷口 真吾4平田 泰雅3羽佐田 紘大5諏訪 錬平7Lihpai Saimon6 (1.海辺つくり研究会、2.南山大学、3.森林総合研究所、4.琉球大学、5.法政大学、6.ポンペイ州政府、7.国際農林水産業研究センター)

キーワード:マングローブ林、セジメント輸送、海面上昇、微地形

海面上昇によるマングローブ林への影響を定量的に評価するために、2018年より西表島、ミクロネシア連邦ポンペイ島において短期的な表層侵食・堆積速度の測定を試みている。海面上昇に対して林内の土砂の堆積速度が十分に早ければ、マングローブ林はその変化に適応できるが(藤本ら 1989)、堆積速度が遅いか、侵食速度がそれを上回る場合には海面上昇への適応ができなくなる(Furukawa et.al. 2002)。

これまでの観測で、海水の浸水時、排水時の短期間にシートフロー状の輸送機構の存在、潮汐による定常的な侵食の発生、時間的に非定常で空間的に不均一な輸送機構の存在などが示唆された(古川ら 2019)。特に上流側からのセジメント供給や林床に存在する微地形(クリーク)などの影響を明らかにする必要がある。

そこで、2019年に複雑な地形条件を持つプロット(ポンペイ島PKプロット:藤本ら 2019)において、二次元的な堆積速度、セジメント輸送の測定を試みた。潮汐や降雨の影響も検討するため、大潮期(晴天時)、小潮期(降雨時)の観測を行った。

パターン分けされた観測結果から、当該PKプロットでは正味のセジメント流出が起こっていることが推察されるデータを得た。特に1) セジメント輸送はクリーク域と林床域で顕著に異なる様相を見せていること、2) 大潮期には、クリーク内では上流からも下流からもセジメントの供給があり、やや堆積傾向となること、3) 小潮期+降雨の影響を受けるときには、クリーク内には上流側からの供給が卓越し、林内での堆積量は増えるものの、正味のセジメントの流出が起こることなどが観測された。

本研究は、マングローブ林における群落レベルでの海面上昇影響の実態把握の一部として実施されたものである。