JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS08] 津波とその予測

コンビーナ:対馬 弘晃(気象庁気象研究所)、久保田 達矢(国立研究開発法人防災科学技術研究所)

[HDS08-07] 2018年アナク・クラカタウ島山体崩壊による岩屑なだれとそれに伴う津波の数値シミュレーション

*柳澤 英明1Yatimantoro Tatok2 (1.東北学院大学教養学部地域構想学科、2.インドネシア気象気候地球物理庁)

キーワード:アナク・クラカトア、津波、山体崩壊、数値シミュレーション、スンダ海峡

2018年12月22日にインドネシア・スンダ海峡に位置するアナク・クラカタウ島で、火山活動に伴う山体崩壊が発生した。さらに、この崩壊による大量の土砂が前面の海域に流れ込み、巨大な津波を発生させ、スンダ海峡周辺のジャワ島・スマトラ島で400名余りが犠牲となった。山体崩壊後、インドネシア気象気候地球物理庁などの機関により津波高調査が実施され、沿岸部で10m以上の津波が観測された。このイベントでは、山体崩壊と津波に関する多くのデータが収集されており、これらのデータは山体崩壊による津波の発生過程や数値モデルを検証する上で重要なデータとなりうる。そこで本研究では、アナク・クラカタウ山体崩壊とそれに伴う津波を数値シミュレーションによって再現するとともに、観測データと比較することで数値モデルの精度やパラメータについて検証を行った。山体崩壊による岩屑なだれと津波を再現するため、非線形長波および、非線形分散波を考慮した二層流モデルを用いた。二層流における土塊の構成則には、土石流を再現するためのマニングモデル、もしくは地すべりを再現するためのクーロン摩擦モデルを利用し、モデルの比較を行った。また崩壊体積については、0.2、0.25、0.3㎦を仮定し計算を行った。数値シミュレーションの結果、崩壊土砂の堆積分布、験潮記録、津波痕跡高すべてを再現するためには、崩壊体積を0.25㎦とし、下層の土塊にはクーロン摩擦則、上層の津波には非線形分散波モデルを適用したモデルを利用する必要があることが分かった。