[HDS09-P04] 北海道厚真町の造成地における2018年北海道胆振東部地震時の変状と地下構造との関係
2018年北海道胆振東部地震(Mw 6.6)に伴って、特に厚真町において多数の斜面が崩壊した。これらの崩壊斜面のほとんどはTa-dやEn-aといったテフラ層の中にすべり面を持つことが指摘されており(例えば、石丸ほか、2019)、脆弱なテフラ層が強震動によって崩れたことが考えられる。また、この地震ではこのようなテフラ層の上に開発された造成地も一部崩壊した。この崩壊メカニズムを明らかにすることは、同様の地質条件を持つ他地域も含め、今後の地震時の減災を考慮する際に重要となる。そこで、本研究では、厚真町の造成地において表面波探査をおこない、崩壊がどのように生じたかについて考察をおこなった。
調査は、周囲の土地を切土し小規模な谷を盛土して作られた造成地において、横断・縦断測線を設けることによっておこなった。地震計を24個1メートル間隔で埋設し、その片端をハンマーで起振することによって生じた震動を記録した。続いて地震計の位置を1メートルずらし起振する作業を、測線の終端にたどりつくまで繰り返した。得られた記録から表面波の分散性を計算し、測線における2次元的なS波速度構造を推定した。
横断・縦断測線に双方おいて、造成前の地形に対応するように90-140 m/s程度の低速度帯が検出された。しかし、低速度層の厚さは盛土の厚さよりも5-10メートル程度厚かった。調査地におけるボーリング調査結果等(黒沢ほか、2019)によると、盛土の下層にはテフラ層が存在し、すべり面はTa-d層に位置するとされる。このことから、崩壊は盛土とテフラ層の両方を含むS波の低速度帯で生じ、下層のS波の高速度帯との強度のコントラストが大きく異なる境界で発生したことが推察される。
謝辞:(株)ドーコンの田近淳博士、厚真町まちづくり推進課の小松豊直参事、厚真中学校の堀田裕之教頭には調査場所の使用などについてご協力いただきました。記して感謝いたします。
調査は、周囲の土地を切土し小規模な谷を盛土して作られた造成地において、横断・縦断測線を設けることによっておこなった。地震計を24個1メートル間隔で埋設し、その片端をハンマーで起振することによって生じた震動を記録した。続いて地震計の位置を1メートルずらし起振する作業を、測線の終端にたどりつくまで繰り返した。得られた記録から表面波の分散性を計算し、測線における2次元的なS波速度構造を推定した。
横断・縦断測線に双方おいて、造成前の地形に対応するように90-140 m/s程度の低速度帯が検出された。しかし、低速度層の厚さは盛土の厚さよりも5-10メートル程度厚かった。調査地におけるボーリング調査結果等(黒沢ほか、2019)によると、盛土の下層にはテフラ層が存在し、すべり面はTa-d層に位置するとされる。このことから、崩壊は盛土とテフラ層の両方を含むS波の低速度帯で生じ、下層のS波の高速度帯との強度のコントラストが大きく異なる境界で発生したことが推察される。
謝辞:(株)ドーコンの田近淳博士、厚真町まちづくり推進課の小松豊直参事、厚真中学校の堀田裕之教頭には調査場所の使用などについてご協力いただきました。記して感謝いたします。