JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS11] Subaqueous Landslides and Their Anthropogenic Impact for Coastal Regions

コンビーナ:北村 有迅(鹿児島大学大学院理工学研究科地球環境科学専攻)、川村 喜一郎(山口大学)

[HDS11-02] 開聞岳南方海底地すべりの構造

*山口 寛登1佐野 守2清水 賢2井和丸 光2島 伸和1,2松野 哲男1,2巽 好幸1,2 (1.神戸大学理学研究科惑星学専攻、2.海洋底探査センター)

キーワード:開聞岳、mass-transport complexes(MTCs)、反射法地震探査

鹿児島県南部、開聞岳南方の海底に面積150km²のsubmarine mass-transport complexes(MTC)を発見した。このMTCを対象にした反射法地震探査と海底地形探査から詳細な構造を得て特徴の記述を行なったうえで、構造の成因についての考察をする。反射法には6チャンネルのマルチストリーマを使用し、一般的な反射法処理の後CMP重合を行い反射断面として出力した。海底地形データは多光源陰影図、傾斜図、Terrain ruggedness indexを作成した。また、それらを全て投影したものを最終的な海底地形図として出力している。地形の構造から6つにエリア分けをしてそれぞれについて記述を行った。エリアはⅠ:長辺がおおむね500m以上の大規模なブロック状(Extensional ridges and blocks), Ⅱ:長辺がおおむね500m以下の小規模なブロック状(Remnant Blocks), Ⅲ:剪断方向の割れ目構造とリッジ構造がともに見られる(longitudinal shares and pressure ridges), Ⅳ:リッジだけが見られる(pressure ridges), Ⅴ:外側のブロック(Outrunner blocks), Ⅵ:明瞭な褶曲と逆断層構造(Fold and thrust systems(pop-up blocks))である。Ⅰのブロックは全て外力による変形を受けている。またエリア境界でbasal shear surface(BSS)を切っていることが分かる。Ⅱではスランプ構造といくつかの変形を受けたブロックがみられる。ⅢではMTC構造体のTopとBottomにSequenceがみられる。Bottomにはスラスト構造が見られる部分もある。Ⅲ・Ⅳの間には変形をほとんど受けていない成層構造が残っている。ⅣはBSSから延びるようなスラストが発達している。Ⅴは他のエリアより表層で、層がひどく乱れた地形的な高まりが見られる。Ⅵは明瞭な南北圧縮のFoldsとFaultがBSS層より上部で見られる。反射断面では連続したBSSがあるエリア(Ⅱ-Ⅵ)と連続しないエリア(Ⅰ)に分けられる。BSSが連続するエリアのうちⅡ-Ⅴは東西圧縮の断層が見られ、東から西へ連続的に構造が変化している。ⅥはⅡ-Ⅴと異なり、南北圧縮の褶曲である。ⅠがBSSを切っていることや、地形的にも不連続なこと、南北圧縮の構造が見られることからⅠはⅡ-Ⅵとは時間的・空間的に隔たりがあったイベントだと推定される。さらにⅠの流れの方向は南方向であり、南北圧縮を受けたⅥがこの流れの末端となった可能性がある。これらのことから次のようなシナリオが考えられる。開聞岳ができる以前に海底がこのMTCの東にある海底崖部分で西方向へ崩れ、連続した変化が見られ東西圧縮を受けたⅡ-Ⅴの海底を押し流したものと考えられる。エリアⅠとⅥは開聞岳を給源とする流れでⅡ-Ⅴが崩れた後に崩れたと推定される。