[HDS12-01] 地すべり・崩壊変動予測評価マップを作るためのAHPを使ったバッファ解析と過誤確率分析法
★招待講演
キーワード:地すべり、崩壊、AHP、バッファ移動解析、過誤確率分析法、変動予測評価図
日本では2004年の新潟県中越地震、2008年の岩手宮城内陸地震を契機として,地質や地形情報を基にした地理情報システム(以下GIS)での地震地すべりにおける解析研究が進んできた。またGISを利用した地すべりの要因分析や広域力学的モデルに関する研究もかなり多くなってきた。さらに、ここ数年においては深層学習(ディープラーニング)による画像認識や音声認識などのパターンに関わるAI技術を応用して、DEMからの地すべり地形抽出自動化も試みられようとしている。
しかしながら、斜面変動予測評価マップの適合性評価では、要因分析等のGIS機能が十分に活かされず、客観的・合理的に検証されているとは言いがたい。また深層学習による自動判読化についても、教師データの圧倒的な事例不足から道半ばと言える。
今回,それらの問題を勘案し,地震や降水・融雪などがトリガーとなる崩壊・地すべりの変動予測評価マップを作成し、かつ客観的に評価できる新しい解析手法を提案した。すなわち,①要因抽出とAHP斜面変動予測評価のための"バッファ移動解析"と②結果として作成された崩壊・地すべり発生モデルの適合性を確率として判定するための"過誤確率分析法"である。
AHPは,GISの因子分析(Fig.1)や専門技術者のこれまでの経験値などに基づいて階層化し要因の重み付けをするもので,AHP計算のスコア合計がメッシュ毎に付与される地形要因からの斜面変動予測評価点となる(Table 1)。
バッファ移動解析は,GIS平面上を半径Rの円領域をもって中心点位置をある長さでスキップ(Skip)しながら移動して地すべり・崩壊要因データを概括的に収集する技術で,抽出要因の数値からAHP計算でメッシュの評価点として与えられる(Fig.2)。ここでRとSkipは目的変数の発生スケールで変えている。例えば2008年の岩手宮城内陸地震のケースでは地すべりと崩壊をそれぞれの現象大きさにあわせR=250m,Skip=150mとR=100m,Skip =50mとした。
過誤確率分析法は,それらから得られ変動予測評価マップのモデル適合性と優劣を実際の発生事例と照合しながら行われる。この手法ではAHP評点の高いところで崩壊・地すべり発生事例の発生確率が高く、発生事例が少ないところではAHP評点分布が発生確率が小さくなるべきである。つまり、発生・非発生それぞれの集計されたAHP評価点データの平均値(μ)と標準偏差(σ)による正規確率密度関数の分布を作り、その範囲の隔たりの大きい方、言い方を変えれば発生・非発生の正規確率密度関数の重なりを過誤確率(P)として表わせば、その確率の重複量が小さければ小さいほどモデル適合度が高いと言うことが出来る(Fig.3)。
解析プログラムではモンテカルロ法を使ってAHPで得られる判定項目の重みを変えながら過誤確率法で分析し実事例に最も良く適合するまで繰り返し計算し最適解が得られる。これらを用いて解析した結果,前述の地震誘因型崩壊・地すべりの現場において実態との良好な適合性を示した。これ手法を紹介する(Table2, Fig.4)。
しかしながら、斜面変動予測評価マップの適合性評価では、要因分析等のGIS機能が十分に活かされず、客観的・合理的に検証されているとは言いがたい。また深層学習による自動判読化についても、教師データの圧倒的な事例不足から道半ばと言える。
今回,それらの問題を勘案し,地震や降水・融雪などがトリガーとなる崩壊・地すべりの変動予測評価マップを作成し、かつ客観的に評価できる新しい解析手法を提案した。すなわち,①要因抽出とAHP斜面変動予測評価のための"バッファ移動解析"と②結果として作成された崩壊・地すべり発生モデルの適合性を確率として判定するための"過誤確率分析法"である。
AHPは,GISの因子分析(Fig.1)や専門技術者のこれまでの経験値などに基づいて階層化し要因の重み付けをするもので,AHP計算のスコア合計がメッシュ毎に付与される地形要因からの斜面変動予測評価点となる(Table 1)。
バッファ移動解析は,GIS平面上を半径Rの円領域をもって中心点位置をある長さでスキップ(Skip)しながら移動して地すべり・崩壊要因データを概括的に収集する技術で,抽出要因の数値からAHP計算でメッシュの評価点として与えられる(Fig.2)。ここでRとSkipは目的変数の発生スケールで変えている。例えば2008年の岩手宮城内陸地震のケースでは地すべりと崩壊をそれぞれの現象大きさにあわせR=250m,Skip=150mとR=100m,Skip =50mとした。
過誤確率分析法は,それらから得られ変動予測評価マップのモデル適合性と優劣を実際の発生事例と照合しながら行われる。この手法ではAHP評点の高いところで崩壊・地すべり発生事例の発生確率が高く、発生事例が少ないところではAHP評点分布が発生確率が小さくなるべきである。つまり、発生・非発生それぞれの集計されたAHP評価点データの平均値(μ)と標準偏差(σ)による正規確率密度関数の分布を作り、その範囲の隔たりの大きい方、言い方を変えれば発生・非発生の正規確率密度関数の重なりを過誤確率(P)として表わせば、その確率の重複量が小さければ小さいほどモデル適合度が高いと言うことが出来る(Fig.3)。
解析プログラムではモンテカルロ法を使ってAHPで得られる判定項目の重みを変えながら過誤確率法で分析し実事例に最も良く適合するまで繰り返し計算し最適解が得られる。これらを用いて解析した結果,前述の地震誘因型崩壊・地すべりの現場において実態との良好な適合性を示した。これ手法を紹介する(Table2, Fig.4)。