JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS12] 湿潤変動帯の地質災害とその前兆

コンビーナ:小嶋 智(岐阜大学工学部社会基盤工学科)、八木 浩司(山形大学地域教育文化学部)、内田 太郎(筑波大学)、苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)

[HDS12-P08] 中部ネパール・大ヒマラヤ帯,マルシャンディ川上流部に発達する巨大地すべり群

*八木 浩司1松四 雄騎2佐藤 P浩3若井 明彦4 (1.山形大学地域教育文化学部、2.京都大学防災研究所、3.日本大学文理学部、4.群馬大学工学部)

キーワード:ネパール大ヒマラヤ帯、巨大地すべり地形、マルシャンディ川

ネパール・大ヒマラヤ中部のアンナプルナ山塊とマナスル山塊を別けるマルシャンディ川の上流部,マナン地域・Dhikur Pokhari付近にはプランジした向斜軸に沿って,幅3km,奥行き3km,比高1500m以上に亘る大規模地すべりが認められる(図1).対岸(右岸側)に乗り上げて止まった移動体の規模は,幅2.5km,奥行き1.5km,厚さ400mで,概算すれば数億㎥の規模である.
Dhikur Pokhariから約20km下流のTiman地域にも幅1km,奥行き3kmの地すべり地形が残され,マルシャンディ川を一時的に閉塞した数千万㎥の地すべり堆積物が残されている.
アンナプルナ山塊とマナスル山塊を南北に別けるゴルジュ沿いや,それに合流する支流に沿っても,数百万〜数千万㎥規模の地すべり地形が多く発達する.それらの中には,馬蹄形状の滑落崖と地すべり物質が完全に抜け落ちたと考えられる谷地形が多く分布図する.それらは,分布高度が3000m以下のものが多く氷蝕谷とは考えにくい.ゴルジュに沿って現河床から200-400mの位置にまで土石流堆積物が認められることから,上流域の地すべりダムの形成と決壊そして,それに伴う土石流が下流域にまで達していたことが予想される.