JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GM 地形学

[H-GM03] 地形

コンビーナ:八反地 剛(筑波大学生命環境系)、瀬戸 真之(福島大学うつくしま福島未来支援センター)

[HGM03-04] 花崗岩斜面谷頭部の比抵抗分布と浅層構造の関係

*吉原 直志1八反地 剛2 (1.筑波大学大学院生命環境科学研究科、2.筑波大学生命環境系)

キーワード:表層崩壊、花崗岩、比抵抗、簡易貫入試験、浅層構造、地中水

表層崩壊の発生場は,土層厚や基岩面地形といった地下構造に制約を受ける.表層崩壊による災害を軽減するために,地下構造を把握するための効率的な調査手法の確立が望まれる.電気探査は物理探査の一種であり,地質構造や水文構造の推定に多用されてきたが,斜面浅層部における有用性は十分に検討されていない.本研究では,茨城県と広島県の花崗岩斜面谷頭部に二次元電気探査を適用し,地下構造の推定の可能性を検証した.探査は無降雨時に行い,電極間隔は0.5 m,2.0 mとした.各調査地域における土層断面観察によると,茨城県のSite A,Bには細粒な表土層(簡易貫入試験による貫入抵抗値Nc≦3),粗粒なサプロライト層(3<Nc<30),基盤岩(Nc≧30)の3層構造が存在した.広島県のSite Cではサプロライト層はほとんど存在せず,礫層が存在した.Site 3の表土層基底面はNc=5の深度と対応した.電気探査と簡易貫入試験の結果を比較したところ,水平成層構造を有する探査領域では,比抵抗分布は測線下の地下構造を良好に反映した.一方で,地下構造が3次元的に変化する領域や,物性が漸移的に変化する領域では,再現性が低下した.地表から表土層基底面にかけて,比抵抗は深度方向に上昇した.表土とその下位構成物の間には,物性の不連続面が形成される.この不連続面が比抵抗の上昇区間として現れ,表土層基底面が検出されたと推定される.比抵抗が地下深部にかけて低下する領域は基盤岩領域であった.しかし,基岩面の深度は比抵抗の空間変化から推定できなかった.基岩面が地下深部に位置するほど,基岩面における比抵抗は低くなる傾向があった.基岩面の物性を概ね均一と仮定すると,基岩面における比抵抗値には岩盤の物性よりむしろ水分分布が強く影響していると考えられる.本研究により,地下構造の調査手法として従来より多用されてきた簡易貫入試験の補完手法としての電気探査の有用性が示された.