JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GM 地形学

[H-GM03] 地形

コンビーナ:八反地 剛(筑波大学生命環境系)、瀬戸 真之(福島大学うつくしま福島未来支援センター)

[HGM03-10] 与那国島海食崖の高解像度三次元地形モデルの作成と崖面の地形形成要因の検討

*木村 颯1市原 季彦2浦田 健作1菅 浩伸1 (1.九州大学大学院地球社会統合科学府、2.堆積環境リサーチ)

キーワード:RTK-UAV、砂泥互層、ノッチ、フォトグラメトリー

海食崖は接近・測量が困難であることから,地形学的な知見が少ない.近年,小型UAVを用いた写真測量が行われているが,測量精度の向上にはGCPを崖周辺に設定する必要があったため,波浪を受ける接近困難な急崖では高精度な測量ができなかった.本研究では,GCPなしに高精度な測量が可能であるRTK-GNSS搭載UAVを用いて崖面を詳細に撮影することで,高精度かつ高解像度な海蝕崖三次元モデルの作成をおこなった.作成した地形モデルから,海食崖面の地形形成に影響を与える要因について議論する.

 本研究では与那国島の中新統の八重山層群砂泥互層で構成された海食崖を対象とした.測量にはRTKを搭載したPhantom4 RTK(DJI)を使用した.UAVによる撮影では,カメラを真下に向けて海岸を広域撮影することに加え,カメラを崖面に向けて手動で操縦・撮影することで崖面の色情報や起伏を高解像度で取得した.三次元モデル作成にはMetashape Professional (Agisoft)を使用し,モデルから得られた数値情報を基に地形解析と岩相の把握をおこなった.

 作成した海食崖モデルの観察から,崖面にはノッチ状の凹地形が複数段形成されることが分かった.モデルから得た座標データを基に凹部の抽出と標高の測定をおこなった結果,凹部の標高に規則性は見られなかった.海食崖の縦断面形態とテクスチャ情報との対応から,凹部は主に厚層泥岩もしくは泥層優勢互層部で構成され,凹凸の幅や深さは砂層の厚さや泥層の連続性に依存することが明らかになった.以上のことから,与那国島の砂泥互層からなる海食崖において,崖面の地形形成は岩相と密接な関係があると考えられる.