JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GM 地形学

[H-GM03] 地形

コンビーナ:八反地 剛(筑波大学生命環境系)、瀬戸 真之(福島大学うつくしま福島未来支援センター)

[HGM03-P05] 堆積記録から推定した2019年台風19号による多摩川中流域の流路変動

*宇津川 喬子1白井 正明2 (1.立正大学 地球環境科学部 地理学科、2.東京都立大学 地理学教室)

キーワード:流路変動、chute flow、インブリケーション、礫、2019年台風19号、多摩川

2019年10月12日に上陸した台風19号による増水で変動した多摩川中流域の流路とその堆積構造を報告する.台風などの荒天に伴う河川の増水によって,河道内の流路が変動して河床の礫州が再配置され,微地形が変わることは珍しくない.近年では地域的な報告に留まっているが(例えば,坂本2015,島津2017,2018),継続した事例研究は欠かしがたい.

山梨県笠取山(標高1,953m)を源流とし,多摩丘陵と武蔵野台地の間を東南方向に流下して東京湾に注ぐ多摩川は,上流域から交互砂礫州を形成する蛇行河川である.多摩川が関東平野に流入して間もない東京都青梅市長淵から約18km下流の立川市柴崎までの数区間で,礫州の配置と礫径の分布を調査した.礫州の配置はGPS測量を用いて増水前との微地形の変化を調べた.また,礫州上のベッドフォームや礫のインブリケーションおよび部分的に国土地理院発表の航空写真を用いて,増水時の流路変動の経過を調べた.調査区間内の河床では上総層群が露出しており,特に下流側の泥層主体の河床(基盤)では,増水前には見られなかった通常の流下方向と交差するような侵食地形および擦痕の方位も補足的に用いた.

調査区域内では,半固定化された多摩川の高水敷にも植生を押し流して砂礫が流入している箇所が多く見られた.これらの砂礫が形成するベッドフォームやインブリケーションから,高水敷への砂礫の流入経路について考察した.青梅市長淵から約4 km下流(小作取水堰から2.2 km下流)では,川底に堆積していたであろう多量の巨礫が増水によって礫州上に再堆積したと考えられる.橋脚だけではなく,高水敷上の植生(高木)の周辺では洗堀によって著しい侵食作用が認められた.

引用文献
坂本隆彦 2015.日本地質学会学術大会講演要旨492.
島津 弘 2018.日本地球惑星連合大会2018年大会要旨(HGM03-O7).
島津 弘 2019.日本地球惑星連合大会2019年大会要旨(MIS20-O6).