JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GM 地形学

[H-GM03] 地形

コンビーナ:八反地 剛(筑波大学生命環境系)、瀬戸 真之(福島大学うつくしま福島未来支援センター)

[HGM03-P10] 火山地域における活構造の地形分析

*川畑 大作1木村 治夫2青柳 恭平2 (1.国立研究開発法人産業技術総合研究所、2.一般財団法人 電力中央研究所 地球工学研究所 地圏科学領域)

キーワード:地形分析、GIS、活断層

多くの活断層が分布している日本では,断層変位が累積し現在の地形に反映されていることがある.特に陸域の活断層では活動する際に地表の変位を伴うことがある.例えば右横ずれ断層が分布している地域では,断層活動の累積により水系が断層を境に系統的に右横ずれしている場合がある.しかし火山地域では地形に断層活動の累積の証拠が残りにくく,地表で断層のトレースを発見すること自体が難しいことも多い.本研究では,火山岩が多く分布する岩手県南部地域を対象にして高精度のDEMを用いた地形分析を行い,河川地形と火山地域の活断層の関係について考察を行った.本研究では,宮城県北部栗原市から岩手県南部一関市にかかる範囲を対象地域とした.この地域は,主に中新世から更新世の火山岩に覆われている.この地域では1896年以降巨大地震が数多く発生しており,2008年には地表変位を伴うMw 6.9の地震が発生した.しかし,多くの地震活動があったにもかかわらず,明瞭な表層変位が少ない地域である.本研究では,対象地域の5mDEMを用いて標高分布,傾斜,傾斜方向,曲率起伏量などの基本的な地形計測と水系密度, stream-power indices(SPI)などの分析を行った.また地質分布に基づく地形の特徴を明らかにするため,20万分の1日本シームレス地質図を用いてそれぞれの地形計測を行った.その結果,2008年に地震が発生し表層に変位が見られた地域ではSPI値が高くなる傾向が明らかになった.今後対象地域を増やし,基本的な地形分析やSPIなどの流域解析を行い比較していくことで,これまで不明瞭だった火山地域の断層活動に関係する地形がわかりやすくなる可能性がある.