JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-QR 第四紀学

[H-QR05] 水中遺構に記録される災害と人の営み

コンビーナ:谷川 亘(国立研究開発法人海洋研究開発機構高知コア研究所)、徳山 英一(高知大学海洋コア総合研究センター)、山崎 新太郎(京都大学防災研究所)

[HQR05-P05] Boxfish ROVとBoxfish360カメラを用いた水中考古学調査

*正木 裕香1瀬底 秀樹2長山 雅之3谷川 亘4山本 裕二5井藤 真一郎1 (1.コスモス商事株式会社、2.日本海洋事業株式会社、3.360プラネット、4.国立研究開発法人 海洋研究開発機構、5.国立大学法人 高知大学)

キーワード:小型ROV、水中360度カメラ、海底遺跡調査

1912年、サウザンプトンからニューヨークへ向かう処女航海で豪華客船「タイタニック号」が氷山に衝突して沈没し、1517人が亡くなった。後にこの悲劇はジェームズ・キャメロンにより映画化され、世界中の観客動員数を塗り替えるヒット作品となった。この映画に使用された機器は、メイキング画像でもおなじみの水中無人探査ロボットROV(Remotely Operated Vehicle)である。

2019年8月、Triton Submarine社による4K映像でのタイタニック号の調査が行われた。なぜなら、沈んでしまった「タイタニック号」は海底に恒久的に保存されるわけでなく、腐敗により形を失われるため、水中遺跡としての価値が失われてしまう可能性があるからである。このように昨今、世界的に水中考古学調査におけるROV活用の重要性が高まっている。

東京湾・相模湾の周辺には、東京海底谷、三崎海底谷と呼ばれる急激な斜面となる海底渓谷が存在する。太平洋側の太平洋プレートとフィリピン海プレートの沈み込みによる相模トラフという海溝が伊豆半島と三浦半島の中間の相模湾に入り込んでいる場所である。今回水深300mの場所で4K映像が撮影できるBoxfish ROV (Boxfish Research社製)とBoxfish360カメラを用いて海底地質・環境調査を実施した。潮が早い中での調査は非常に難しく、小型ROVを用いて安定的に調査をするためには技術的な工夫が必要であった。本発表では、小型ROVと水中360度カメラを併用して効率的な調査をした事例を紹介する。

潮流も速く地震も多発している日本周辺には、水中遺跡が多数存在することが考えられる。しかしながら、ROVを使用した調査は少なく、その把握は進んでいない。今後、ROVや360度カメラを用いた調査が活発化することが予測される。