JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-QR 第四紀学

[H-QR06] 第四紀:ヒトと環境系の時系列ダイナミクス

コンビーナ:小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、横山 祐典(東京大学 大気海洋研究所 高解像度環境解析研究センター)、奥村 晃史(広島大学大学院文学研究科)、里口 保文(滋賀県立琵琶湖博物館)

[HQR06-P03] 茨城県内における谷底平野の勾配の特徴

*小荒井 衛1關根 友哉1中埜 貴元2 (1.茨城大学理学部理学科地球環境科学コース、2.国土地理院)

キーワード:谷底平野、勾配、液状化

中埜ほか(2015)では、谷底平野・氾濫平野の液状化リスクを勾配1/100で2分しているが、この根拠は明確ではない。そこで、茨城県内の台地を開析する谷底平野と大河川(利根川、鬼怒川、小貝川、那珂川、久慈川)沿いの氾濫平野を対象に、地理院地図の断面図機能を活用して、谷底平野・氾濫平野の勾配の特性について検討した。また、小美玉市下玉里の台地を開析する一部の谷底平野において、勾配1/100以上の1地点と同未満の2地点でハンドオーガーによるサンプリングを行い、勾配と構成物質の粒度との関係を調査した。

その結果、勾配1/100より急勾配の谷底平野・氾濫平野は延長距離で1割にも満たず、0次谷の谷頭斜面などに限定されていた。台地を開析する谷底平野の勾配は、概ね1/500よりも急勾配であった。2011年東北地方太平洋沖地震による液状化は、台地を開析する谷底平野では数か所でしか発生しておらず、その勾配はいずれも1/500よりも緩勾配であった。一方、大河川沿いの氾濫平野は勾配1/500よりも緩勾配の箇所がほとんどであり、液状化発生地点と勾配との間には特段の相関関係は認められなかった。以上の結果からは、谷底平野・氾濫平野の地形分類については、液状化リスクを考えた場合、台地を開析する谷底平野と大河川沿いの氾濫平野に分ける必要があり、前者は勾配1/500以上を閾値として抽出可能と考えられる。

また、台地を開析する谷底平野でのハンドオーガーによるサンプリング及び粒度分析の結果、勾配1/100以上の上流のコアの深度3m以深で粗粒な砂が卓越していた。勾配と粒度組成とには因果関係があると考えるのに、矛盾しない結果となった。

ハンドオーガーは茨城大学広域水圏環境科学教育研究センターの山口直文助教にお借りした。掘削地点の許可と交渉には、茨城大学学生の橋本果歩氏と父親の橋本不二夫氏のお世話になった。心よりお礼申し上げる。