[HQR06-P09] 地震性地殻変動と大規模ラハールによって規制された開析谷埋積シークエンス:南海トラフ沿岸,宿毛臨海低地において採取されたSKMコアの解析例
キーワード:沖積層、後期更新世〜完新世、シークエンス層序学、AMS14C年代、堆積環境、宿毛臨海低地
南海トラフ巨大地震によって沈降が予測されている宿毛臨海低地において沖積コアを採取し,LGMの開析谷を埋積する沖積層の特徴と堆積シークエンスの検討を実施した.松田川開析谷はLGMに形成され,その後の後氷期海進により,9.8 kaに標高-30mに海水が到達し,エスチュアリー環境へと変化した.その後も海水準は上昇し続けて内湾泥底環境となり,7.5 kaに最高水深時となった.7.3 kaに起こった南九州の鬼界カルデラ噴火により,給源に近い宿毛湾周辺においてもK-Ah火山灰が厚く降灰し,その直後に大規模なラハールが発生した.その直後から水中二次堆積物が急激に堆積した.7.0 ka以降にデルタの成長が他の地域に先行して活発化したが,これは大規模なK-Ah火山灰の影響と考えられる.SKMコアから得られた過去1万年間の海面変動情報に基づくならば,宿毛湾地域は南海トラフ巨大地震によって一時的に地盤沈下するものの,長期的に見るとそれらの沈降量は相殺されると理解される.
AMS14C年代測定の一部に日本学術振興会科学研究費補助金(課題番号JP 18H01310)を使用した.
AMS14C年代測定の一部に日本学術振興会科学研究費補助金(課題番号JP 18H01310)を使用した.