JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-SC 社会地球科学・社会都市システム

[H-SC07] 地球温暖化防⽌と地学(CO2地中貯留・有効利⽤、地球⼯学)

コンビーナ:徂徠 正夫(国立研究開発法人産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門)、薛 自求(公益財団法人 地球環境産業技術研究機構)、愛知 正温(東京大学大学院新領域創成科学研究科)、今野 義浩(東京大学)

[HSC07-13] CCSの経済性評価

*庄路 友紀子1鳥羽瀬 孝臣1 (1.電源開発株式会社)

キーワード:CCS、経済性評価

国の地球温暖化対策計画では、温室効果ガスを2030年度に2013年度比で26%削減する中期目標と、2050年までに80%削減を目指す長期目標を掲げており、電力の安定供給を図りつつ長期目標を達成するためには、火力発電にCCSを付けることが不可欠となる。そのため、今後、CCSの商用化に向けて、経済性が成立することが重要なポイントとなる。本検討では、CCSを構成する各工程(火力発電所等で発生したCO2の分離回収、圧縮液化、輸送、地中貯留)における設備検討とコスト試算を行い、CCSの経済性を評価した。

(1)検討条件
CCSの設備構成の検討及びコスト試算する際の条件は次のとおりに仮定した。CO2処理量は500万ton-CO2/年、回収CO2の純度は99.5%、操業時間は40年、輸送距離は200km、500km、1,000kmの3ケース、貯留層の圧入性能は50万ton-CO2/年・坑井(圧入坑井数は10坑井)とした。コスト試算においては、CCSの各工程毎にアボイデッドコスト(CO2処理量に対してCCSの工程上必要な電力・燃料消費等に伴うCO2排出量を控除したコスト)を算出した。

(2)CCSのコスト
高効率型石炭火力であるIGCC発電を対象として、CO2の分離回収は物理吸収方式で検討した。日本の場合、貯留サイトの多くが海域と想定されていることから、分離回収したCO2を圧縮液化して貯留サイトまで船舶輸送することにした。CO2の輸送、地中貯留に関しては、船舶から圧入設備に接続してCO2を圧入する「シャトルシップ方式」、船舶輸送した液化CO2を浮体中間貯蔵設備に積替え、圧入設備に接続してCO2を圧入する「浮体中間貯蔵方式」、貯留サイトに近い離島等の陸上に中間貯蔵設備を設け、そこから貯留層に向けて坑井(ERD)を設置してCO2を圧入する「陸上中間貯蔵方式(ERD)」、そして、同じく陸上に中間貯蔵設備を設け、そこからパイプライン(PL)を敷設し、海底部の圧入設備に接続してCO2を圧入する「陸上中間貯蔵方式(PL)」の4方式についてコスト試算した。分離回収、圧縮液化、輸送、地中貯留に係わるコストを合計した結果、シャトルシップ方式では8,580~9,500円/ton-CO2、浮体中間貯蔵方式では8,290~8,910円/ton-CO2、陸上中間貯蔵方式(ERD)では6,930~7,580円/ton-CO2、陸上中間貯蔵方式(PL)では8,170~8,820円/ton-CO2となった。

(3)CCSの経済性評価
(2)で試算したCCSのコスト(6,930~9,500円/ton-CO2)について、IGCCのCO2排出原単位0.76kg-CO2/kWhを用いて計算すると、kWh当りのコストは5.3~7.3円/kWhとなる。そして、IGCCの発電コストは今後、微粉炭火力と同等になると仮定した上でCCS無し石炭火力とCCS付き石炭火力のコスト比較した結果、CCS付き石炭火力は従前のCCS無し石炭火力に比べてコストが1.19~1.35倍上昇する結果となった。したがって、本検討から、脱炭素に向けたエネルギーミックスを考慮していく上で、経済性の観点から知見が得られたと考えられる。