JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-SC 社会地球科学・社会都市システム

[H-SC07] 地球温暖化防⽌と地学(CO2地中貯留・有効利⽤、地球⼯学)

コンビーナ:徂徠 正夫(国立研究開発法人産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門)、薛 自求(公益財団法人 地球環境産業技術研究機構)、愛知 正温(東京大学大学院新領域創成科学研究科)、今野 義浩(東京大学)

[HSC07-P05] 光ファイバー計測による微小振動モニタリングの可能性

*三善 孝之1中島 崇裕1薛 自求1 (1.地球環境産業技術研究機構)

キーワード:二酸化炭素地中貯留、光ファイバー計測、地震

CO2地中貯留では、圧入されたCO2の広がりの監視に加えて、地層圧の上昇にともなう地層変形や圧力伝播範囲の監視の必要性が議論されている。それらを効果的に実施する技術の一つとして、分布型光ファイバーセンシング技術が挙げられる。分布型光ファイバーセンシングでは、光ファイバー全体が受信器となるために、空間的に連続した記録を取得できる技術として期待されている。複数のファイバーを一度に設置することで温度・圧力・ひずみ・振動を全て捉えるマルチセンサーとして、大幅なコスト低減に期待がもてる。

圧入井や観測井に設置される振動計測用の光ファイバーは、CO2プルームの広がりを把握するためのVSP(Vertical Seismic Profile)技術の受振器としての利用に加え、VSPを実施しない期間における坑井周辺の微小振動観測にも用いることができる。光ファイバーケーブルを用いた振動観測は、一般的なジオフォンや地震計と比べて感度が落ちるとされる。そこでわれわれは、自然地震が多く発生するサイトで、鉛直坑井のケーシング背面アニュラス内に設置されたひずみ計測用光ファイバーケーブルを使用して、約20日間の自然地震観測を行い、光ファイバーケーブルの自然地震に対する感度評価を実施した。
単一センサーとして、1チャンネルの記録を使用した場合には、比較的大きな地震動のみしか捉えることができなかった。それに対して線観測記録として複数のチャンネル記録を用いた場合では、気象庁一元化震源記録に記載されている地震イベントのうち、半径20km以内の地震イベントの全ての地震イベントを検知することができた。CO2地中貯留における監視領域を半径10km程度とすることを考慮すると、微小振動モニタリング技術として分布式光ファイバーセンシングは有効であることが示された。