JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT14] 地理情報システムと地図・空間表現(英語)

コンビーナ:小口 高(東京大学空間情報科学研究センター)、若林 芳樹(首都大学東京大学院都市環境科学研究科)、Yuei-An Liou(National Central University)、Ronald C. Estoque(National Institute for Environmental Studies, Japan)

[HTT14-05] 地形および植生変化から見たスバールバル諸島・コングスフィヨルド周辺域の凍土環境

*李 在庸1小口 高2 (1.東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻、2.東京大学空間情報科学研究センター)

キーワード:凍土融解、北極環境、ニーオーレスン、リモートセンシング

最近の北極周辺における劇的な環境変化の原因として地球温暖化が挙げられる。これにより生じる永久凍土の融解と、その結果としての環境変化が注目を集めている。凍土環境の変化は居住者やインフラ等に経済的な被害をもたらし、植生の拡大はアルベドや生態系の変化を引き起こす。特に凍土の融解は、凍土に捕獲されていた温室効果ガスを大気中に放出させ、地球温暖化を加速させる。
本研究では、スバールバル諸島のコングスフィヨルドの周辺域を対象に、Sentinel-2およびWorldView-2衛星の画像、ノルウェー極地研究所の空撮から得られた画像、および2019年10月の現地調査に基づいて地形と植生変化を分析した。その結果、33ヵ所において土壌侵食や斜面崩壊が確認された。この地形変化のほとんどは氷河の前方の地域で発生している。ここでは氷河の融解に伴い、氷河の前面の空間が拡大し凍土への流量が増加したと考えられる。植生の分布面積も、部分的に拡大したことが把握された。このような変化は、スバールバル諸島の凍土環境の変化が加速していることを示唆する。